慢性関節リウマチ(RA):慢性関節リウマチにおける短期低用量の副腎皮質ステロイド vs プラセボと非ステロイド性抗炎症剤

Rheumatoid Arthritis (RA): Short-term low-dose corticosteroids vs placebo and nonsteroidal antiinflammatory drugs in rheumatoid arthritis

Gotzsche PC, Johansen HK

最終更新日:07/12/1997


目的:慢性関節リウマチ患者において短期の(すなわち治療開始の最初の1カ月以内に記録を取ってある),経口低用量副腎皮質ステロイド療法(最大1日15mgプレドニゾロン相当量)がプラセボや非ステロイド性抗炎症剤よりも優れているかを決定すること.

検索方法:MEDLINE シルバープラッター,コクラン比較臨床試験レジスタ,文献リストおよび個人資料.

選択基準:治療開始後一ヶ月以内に臨床的アウトカムの報告のある,経口副腎皮質ステロイド(1日15mgプレドニゾロン相当量以下)とプラセボもしくは非ステロイド性抗炎症剤を比較している全てのランダム化研究を選択対象とした.

データ収集と解析:どの試験を含めるかの決定は試験方法の部分のみに基づいて,ふたりのオブザーバーが独立して行った.標準化された効果の判定は統計学的分析で行われた.ランダム効果モデルは,統計試験でP<0.10ならば使用した.

主な結果:10の研究の患者320人がメタ・アナリシスで検討された.プレドニゾロンはプラセボに対して関節の圧痛(標準化効果サイズ 1.31,95%CI 0.78〜1.83),痛み(標準化効果サイズ 1.75,95%CI 0.87〜2.64),そして握力(標準化効果サイズ 0.40,95%CI 0.13〜0.69)において明らかな効果があった.オリジナルの単位で測定すると,12関節(6〜18),握力では22mmHg(5〜40)の違いがあった.プレドニゾロンは非ステロイド性抗炎症剤に対しても関節の圧痛(標準化効果サイズ 0.63,95%CI 0.11〜1.16),そして痛み(標準化効果サイズ 1.25,95%CI 0.26〜2.24)で大きな効果を得たが,握力では有意な差が見られなかった(標準化効果サイズ 0.31,95%CI -0.02〜0.64).オリジナルの単位で測定すると,9関節(5〜12),12mmHg(-6〜31)の違いがあった.副作用の危険度は,中期及び長期使用でも許容範囲内だった.

結論:低用量(1日15mg以下)のプレドニゾロンはリウマチ患者に断続的に,特に病気が他の方法で管理できない時に使用されている.プレドニゾロンは高く効果が認められているので,短期間プラセボ比較試験を行って低用量プレドニゾロンや他の経口副腎皮質ステロイドの治療効果を判定する試験はもはや不要である.


Citation: Gotzsche PC, Johansen HK. Rheumatoid Arthritis (RA): Short-term low-dose corticosteroids vs placebo and nonsteroidal antiinflammatory drugs in rheumatoid arthritis. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:久保理恵/糸矢宏志,高屋敷明由美)