非リウマチ性心房細動のある患者の脳卒中または一過性脳虚血発作後の二次予防:抗凝固療法と抗血小板療法の比較

Secondary prevention following stroke or transient ischemic attack in patients with nonrheumatic atrial fibrillation: anticoagulant versus antiplatelet therapy

Koudstaal P

最終更新日:15/02/1995


目的:非リウマチ性心房細動のある患者の脳虚血発作後の血管障害の再発の長期的な予防(二次予防)に対して抗凝固療法と抗血小板療法の有用性について比較する.

検索方法:コクラン脳卒中レビューグループの検索方法,試験者への個別の連絡.

選択基準:ランダム化比較試験のみを対象としたところ,抗凝固剤とアスピリンを比較した研究は一つであった.

データ収集と解析:すべての血管障害,脳卒中の再発,頭蓋内出血,重大な頭蓋外出血などのアウトカムについて一人がデータの抽出をした.

主な結果:ランダム化の3ヶ月以内にTIAまたは軽度の脳虚血発作をおこした非リウマチ性心房細動のある患者に対して抗凝固療法とアスピリンの有用性を比較したランダム化試験が1つある.アスピリンと比較すると,抗凝固剤は重篤な血管障害の危険性を約1/2に減少させる(オッズ比[OR] 0.55, 95%信頼区間 [CI] 0.36-0.83).つまり,1000人の患者を治療すると年間50件の血管障害を予防することになる.同様に,アスピリンと比較すると,抗凝固剤が脳卒中の危険性を2/3に減少させ(OR 0.35,95%CI 0.22-0.59),1000人の患者を治療すると年間60件の脳卒中を予防することになる.重篤な出血の併発は抗凝固剤を使用している患者のほうによくみられた.(OR 4.65,95%CI 1.66-12.99)しかし,絶対的な差は小さかった.(2.8% vs 0.9% /year) 頭蓋内出血は抗凝固剤群もアスピリン群も報告されていない.

結論:抗凝固剤は可能であれば非リウマチ性心房細動のある患者で最近脳虚血をおこした患者に投与されるべきである.アスピリンは抗凝固療法が禁忌の場合の代替として使用してもよいかもしれない.


Citation: Koudstaal P. Secondary prevention following stroke or transient ischemic attack in patients with nonrheumatic atrial fibrillation: anticoagulant versus antiplatelet therapy. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:糸目千穂/橋本 淳,八森 淳)