RSウイルス下気道感染症に対するリバビリン

Ribavirin for Respiratory Syncytial Virus Lower Respiratory Tract Infection

Randolph AG, Wang EEL

最終更新日:05/02/1997


目的:RSウイルス下気道感染症の幼児の治療としてのエアゾル化リバビリンの効果のエビデンスを系統的にレビューする.

検索方法:1975年から現在までの文献のMEDLINEコンピューター検索,検索した文献の参考文献リスト,専門家との連絡.

選択基準:RSウイルス下気道感染症に罹患した幼児における,8つの双盲法によるプラセボ対照ランダム化比較試験.

データ収集と解析:2人の独立したレビュアーが,研究の質を評価し,研究の母集団,薬物療法,臨床的に関連のあるアウトカムの測定についてのデータを抽出した.

主な結果:リバビリンは 効果がある傾向が強そうだが, 3つの試験のアウトカムをプールするために メタ・アナリシスを行うと, リバビリンは死亡率を有意に下げることはなく(OR 0.53, 95%CI 0.11〜2.49),呼吸機能悪化の確率を下げることもなかった(OR 0.36, 95%CI 0.08〜1.49).どの研究においてもリバビリンが入院期間を短縮するということを示すものはない.客観的スコアリング法を使うと,疾患や酸素化の重症度について リバビリンの効果を示すことができなかった.

結論:幼児のRSウイルス下気道感染症に対するリバビリンの使用は有意な利益を示すエビデンスで支持されていない.しかし,これまでの研究は,死亡率や呼吸機能の悪化を減少させる可能性を除外するほどの十分な検出力はない.リバビリンの人工換気を受けている患者やその他のハイリスク患者に対する大規模なランダム化比較試験が必要である.


Citation: Randolph AG, Wang EEL. Ribavirin for Respiratory Syncytial Virus Lower Respiratory Tract Infection. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:福田泰代/八森 淳,橋本 淳)