急性虚血性脳卒中におけるprostacyclinとその類似体

Prostacyclin and analogues in acute ischaemic stroke

Bath P, Bath F

最終更新日:11/01/1996


目的:prostacyclinとその類似体が急性虚血性脳卒中による死亡の危険性を減らす可能性があるかどうかを判定する.

検索方法:コクラン脳卒中レビューグループの検索方法に加えてMEDLINE,EMBASE,ISIの検索,製薬会社の記録.

選択基準:プラセボまたはコントロ-ルとprostacyclinとその類似体を比較したすべての完全ランダム化比較試験(出版されたものあるいはされていないもの).試験はストロ-クが起こってから1週間以内にエントリ-する.

データ収集と解析:原因問わず発症してから早期の死亡(1ヶ月以内)と遅期の死亡(18ヶ月以内).

主な結果:6つの試験が同定された.そのうち,427例の患者が含まれる一つの試験はまだ結果がでていない.191例(98例はprostacyclin,93例はプラセボ)の急性虚血性脳卒中と思われる患者を含む5つの試験でレヴュ-をしている.早期の死亡についてはprostacyclinで6例,プラセボで9例あった.オッズ比0.63(95% 信頼区間 0.22-1.85).10から18ヶ月までの遅期の死亡率を評価している試験が一個あり,その試験での両群の死亡率は50%だった.

結論:研究された患者数が不十分であり,今のところprostacyclinが致死率を減少させるかどうかはっきりしない.その有効性を評価するには少なくとも1つの大規模な(n>2000)ランダム化比較試験が必要である.現段階では急性虚血性脳卒中の患者へのprostacyclinの日常的な投与は推奨できない.


Citation: Bath P, Bath F. Prostacyclin and analogues in acute ischaemic stroke. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:糸目千穂/濱崎圭三 渡邊次夫)