分娩時の羊水過少に対する予防的羊水注入と治療的羊水注入との比較

Amnioinfusion prophylactically versus therapeutically for intrapartum oligohydramnios

Hofmeyr GJ

最終更新日:04/12/1995


目的:入手可能な最良の証拠に基づいて,羊水過少に対する予防的羊水注入と,胎児の心拍数低下または高度の羊水混濁が起こった場合のみに行う治療的羊水注入とを比較して,母体と周産期の結果に対する効果を判定すること.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループによって維持・更新された臨床試験のレジスター.

選択基準:組み込み基準は次の7項目を含んだ.それらは,1)羊水過少に対する予防的羊水注入と治療的羊水注入の臨床的に意義ある結果に対する効果を比較する臨床試験,2)治療群と対照群への割付けの適切な秘匿,3)結果に実質的に影響を及ぼすほどでない割付け管理の違反,4)報告が臨床的に意義ある結果評価方法をとっていること,5)観察者バイアスを最小限にするためにとられた合理的手段,6)プロトコル違反の有無に関係なく,最初の割付けに従った分析に利用できるデータ,7)不十分なデータのために結果に重大な影響が出ていないこと,8)分析に適した形で入手できるデータ,であった.確認された2つの研究の両方ともあらかじめ定義された組み込み基準を満たした.

データ収集と解析:検討した試験は,試験結果を考慮することなく,方法論的質と組み込みの的確性を評価された.組み込まれた試験データは次に述べる方法で処理された.Mulrow CD,Oxman AD (編) ,コクラン共同計画ハンドブック[1997年3月1日改訂].コクラン・ライブラリー[ディスクまたはCDR-OMのデータベース].コクラン共同計画発行.オックスフォード,Update Software社.1996年より3カ月毎に改訂.

主な結果:両群間に統計的な有意差は次の7項目に関してみられなかった.それらは,1)帝王切開,2)鉗子分娩,3)アプガースコアが7未満または1分ないし5分が4/5,4)臍帯動脈のpHが7.20未満,5)オキシトシンによる陣痛促進,6)胎便吸引,7)新生児肺炎,8)新生児敗血症や分娩後の子宮内膜炎,であった.予防的羊水注入は分娩中の発熱の増加と関連していた(相対危険率 3.48,95%信頼区間 1.21から10.05).

結論:レビューした試験は,羊水過少に対する予防的羊水注入が,胎児の心拍数低下あるいは高度の羊水混濁の場合にのみ行う治療的羊水注入に勝る利点を示さなかった.(追加リストの中で引用されたHofmeyr1997a とHofmeyr1997bのレビューをみよ).


Citation: Hofmeyr GJ. Amnioinfusion prophylactically versus therapeutically for intrapartum oligohydramnios. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:益田裕子/佐藤孝道)