超低出生体重児におけるインドメタシンの予防的静脈内投与

Prophylactic intravenous indomethacin in very low birth weight infants

Fowlie PW

最終更新日:27/05/1997


目的:インドメタシンは症候性の動脈管開存症の治療に用いられ,新生児期の脳室内出血を予防または発生を減少させるかもしれない.このレビューでは,出生時体重1750g未満の新生児について動脈管開存症による死亡率および罹患率に及ぼすインドメタシンの予防的静脈内投与の効果について考察する.

検索方法:文献検索は1980年1月から1994年10月までの3種類のデータベース,すなわちMEDLINE,EMBASEおよびOxford Database of Perinatal Trialsについて行った.検索は1997年2月に更新した.

選択基準:臨床試験には厳格な選択基準を用いた.出生時体重1751g未満の新生児を対象としていること.介入はインドメタシンの予防的静脈内投与であること.ランダム化比較試験であること.あらかじめ決めた結果が少なくとも1つは報告されていること.

データ収集と解析:各試験の方法論の質は明確な基準をもって評価した.関連する結果測定のデータを2度にわたって抽出し,適切と考えられる場合には個々の試験の結果をメタ・アナリシスの手法で統合したうえで全体として効果の推定を行った.

主な結果:インドメタシンの予防的投与を受けた新生児の新生児死亡率に減少傾向がみられた.全体の相対リスク(RR)=0.85[95%CI 0.66から1.09].動脈管開存症の発生率は,治療した新生児では有意に減少した RR=0.35[0.26から0.47]が,呼吸器系の結果について治療が影響したという証拠はなかった.インドメタシンの予防的投与では,治療した新生児におけるグレード3あるいは4の脳室内出血の発生率は有意に減少した.RR=0.60[0.43から0.83].治療した新生児には壊死性腸炎の発生率が増加する傾向がみられるものの,インドメタシンの予防的投与によると思われる長期の有害な効果を示唆する証拠はなく,治療が一過性の腎機能障害をきたす可能性があるとする証拠があった.止血が障害されるという証拠はない.

結論:インドメタシンの予防的投与は,特に症候性動脈管開存症および重症の脳室内出血の減少など,いくつかの短期的利点がある.今のところ長期的な有害作用の証拠はない.さらに厳密な効果を,有益性および有害性の両面で,短期および長期の結果について評価するために,今後,試験が必要である.


Citation: Fowlie PW. Prophylactic intravenous indomethacin in very low birth weight infants. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:廣瀬美智代/佐藤孝道)