マラリア浸淫地帯における妊娠中のマラリア予防

Malaria in pregnancy in endemic areas

Gulmezoglu AM, Garner P

最終更新日:17/05/1998


目的:マラリア浸淫地帯に住んでいる,妊娠中の母親や乳児の間での,マラリア予防処置の有効性を判定すること.

検索方法:試験は,すでにある総説,電子的文献検索や,コクラン感染症グループの比較臨床試験特別レジスターを参照することによって同定された.可能であれば,試験の著者に連絡を取り,付加的な情報を得た.このレビューは発表および未発表の両方の情報を含む.

選択基準:妊婦についてのマラリア予防処置における,あらゆるランダム化または準ランダム化試験が,介入無しと別のマラリア予防療法の両方について比較された.

データ収集と解析:14の試験が判定基準に合致した.母親の病気,貧血,低出生体重,そして胎児又は乳児期の死亡率について記載されたものが,それぞれの試験から抽出された.

主な結果:化学的予防効果は,母親の発熱や母親特有の病気がほとんどないことと,乳児の出生体重が重いことに関連していた.これらの効果は,初妊婦でもっとはっきりしている.マラリア予防処置における,母親の貧血,周産期死亡や早期出産についての効果を評価するための十分なデータは得られなかった.

結論:マラリア浸淫地帯での,妊娠中のすべての化学的予防法は,平均出生体重や低出生体重の発生率に対して効果的かもしれない.しかし,いくつかの効果は,初妊婦に限定されるであろう.現在の証拠を考慮しても,関連する結果において,予防の効果は強くない:母親を疾病から守る効果はあるようだが,研究の規模は,周産期罹患率,または胎児/乳児死亡率の面から,結論を弱めてしまう.さまざまな予防療法の有効性を検証するのに,十分な検出力を持つ,地域ベースの試験が今後必要である.貧血を防ぐプログラム(マラリア薬と合わせて鉄分や葉酸塩を含む)によって,貧血や周産期のアウトカムにおける効果を明らかにしやすくなるであろう.


Citation: Gulmezoglu AM, Garner P. Malaria in pregnancy in endemic areas. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:溝渕泰三/岡山雅信)