正期骨盤位分娩に対する予定帝王切開術

Planned Caesarean section for term breech delivery

Hofmeyr GJ, Hannah ME

最終更新日:10/07/1995


目的:入手可能な最良の知見から,骨盤位に対する予定帝王切開が妊娠予後の各因子に与える影響について評価すること.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループにより維持・更新された臨床研究登録.

選択基準:組み込み基準は以下のものが含まれる:コントロール群(管理プロトコールにのっとった予定経膣分娩群)と対比することで骨盤位における予定帝王切開の影響を比較した臨床研究であること.治療群とコントロール群に割付けの適切な秘匿をもってランダムにふり分けられていること.割付けられた管理法を遵守しなかった場合にも結論に重大な影響が出ていないこと.臨床的に意味のある結果評価がなされていること.研究者のバイアスを最小限にするための適切な方策がとられていること.プロトコール違反を問わず,ランダム割付けに従った分析に対して適切なデータであること. 不十分なデータが結論に対して重大な影響を及ぼしていないこと.データが分析に対して適切な形をとっていること.同定された3研究のうち,2研究が前もって決めておいた組み込み基準に合致していた.

データ収集と解析:検討下の研究は結果自体を考慮せずに方法論的特質や妥当性の点で評価された.含まれる研究データは以下に記載されているように処理された. Mulrow CD,Oxman AD (編) ,コクラン共同計画ハンドブック[1997年3月1日改訂].コクラン・ライブラリー[ディスクまたはCDR-OMのデータベース].コクラン共同計画発行.オックスフォード,Update Software社.1996年より3カ月毎に改訂.

主な結果:帝王切開は予定帝王切開群に割付けられた119/128(93%)に,経膣分娩群の99/185(54%)に施行された.予定帝王切開の方針は有意な母体罹患率の上昇(相対危険度1.31,95%信頼区間1.02-1.68)と関連がみられた.さらに1つの研究では(Collea 1980)短期の新生児罹病率の減少との関連が見られた(相対危険度0.26,95%信頼区間0.08-0.88).上腕神経叢麻痺,低アプガースコア,周産期死亡率に対する疑問に十分に答えるだけ大きさの研究はなかった.

結論:骨盤位予定帝王切開の方針が周産期死亡率や長期の新生児予後のような臨床的に重要な結果にもたらす影響を判定するにはより大規模研究が必要である.


Citation: Hofmeyr GJ, Hannah ME. Planned Caesarean section for term breech delivery. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:六車浩史/佐藤孝道)