禁煙に対する医師の助言

Physician advice for smoking cessation

Silagy C, Ketteridge S

最終更新日:29/07/1997


目的:医師による助言の禁煙の促進に対する有効性を評価する.医師による最小限の介入とより集中的な介入とを比較し,禁煙を勧めるための様々な方法の有効性を評価する.特定の疾患における,またすべての原因による死亡率に対する禁煙指導の効果を調査する.

検索方法:9つの磁気化されたデータベースを検索し,つぎの検索用語を用いた.(1)SMOKING CESSATION と(2)PHYSICIAN を合わせて使用し,発表論文をデータベースの登録開始から1996年12月までについて検索した.発表された総説論文,臨床試験の参照文献リスト,主要会議の会議抄録も調査した.

選択基準:発表又は未発表のランダム化比較試験で,医師による禁煙指導が行われ,最初の指導から禁煙期間が少なくとも6カ月調査されている試験を採用可能とした.

データ収集と解析:データは2人のオブザーバーが,あらかじめ決められた基準に従って抽出し,不一致部分については第三者が決定した.全部で28研究がみつかりレビューされた.これらは1972年から1996年に実施され,25,000人以上の被験者を含んでいた.いくつかの研究において,被験者は特定の疾患のリスク(肺疾患,糖尿病,虚血性心疾患)を持っていたが,大部分は一般的な人々であった.禁煙のための助言をするもっとも一般的な状況はプライマリ・ケアの場であった.他には,病院での病棟,外来診察室,企業内診療所の場合もあった.主な測定項目は,研究開始時の喫煙者における最低6カ月後での禁煙率であった.禁煙についてはもっとも厳格な定義を用い,可能であれば生化学的検査による確認を行っていた.可能ならば固定効果モデルを用いてメタ・アナリシスを行い,その結果の感度分析をした.

主な結果:簡単な指導と指導なし(又は通常の処置)を比較した16試験のデータを併合すると,禁煙に関して,わずかだが有意差が明らかになった(オッズ比:1.73,95%信頼区間1.47-2.02).この結果は約2.7%の禁煙率の差に等しい.間接的な比較によるために,介入の強さ,診察の回数,医師の助言に加え診察時にいろいろな資料,道具の使用の有無によって,医師の助言による効果に有意な差があるかどうかについては十分な根拠が得られなかった.しかし集中的な(濃厚な)アドバイスと簡単な指導を直接に比較した結果では,集中的に行ったほうが若干優れていた(オッズ比1.50,95%信頼区間1.29-1.74).

結論:単純な指導の禁煙率への効果は小さい.集中的介入が最小限の介入よりも効果がやや大きいが,経過観察の提供を除いては,付加的方法の効果はほとんどないように思われる.


Citation: Silagy C, Ketteridge S. Physician advice for smoking cessation. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:八重ゆかり/村上智彦,名郷直樹)