早産前のフェノバルビタール

Phenobarbital prior to preterm birth

Crowther CA, Henderson-Smart DJ

最終更新日:13/4/1997


目的:超早産の危険が差し迫っている母体に対し,児の脳室周囲出血の予防を主な目的として投与されるフェノバルビタールの利益と害を評価すること.

検索方法:このレビューは全体としてコクラン妊娠と出産グループによって開発された検索方法を用いた.関連した試験は同グループの比較臨床試験特別レジスターで確認された.詳しくはレビューグループの詳細を参照.

選択基準:出生前にフェノバルビタールを投与された後の新生児死亡率,新生児の神経学的その他の罹病率,長期的な神経発達と母体の罹病率といった結果と,プラセボを用いたあるいはプラセボなしのコントロール群における結果とを比較した,すべての出版されたランダム化または準ランダム化試験.

データ収集と解析:組み込みや方法論的質の適切さは,結果を考慮することなく各判定者によって別々に評価された.データは2人の判定者によって別々に抽出され,2重に登録された.候補となる試験はすべて最初の分析に組み込まれ,試験の質の影響を評価するためあらかじめ決めた感受性分析が行われた.

主な結果:8つすべての試験を分析した結果,すべてのグレードの脳室周囲出血(PVH)および重症のグレード(3と4)のPVHの頻度が有意に減少したことが示される.この結果は比較的古く質の低い研究の影響を受けており,かつて重症なPVHが高頻度だったために過度に重く分析に貢献している.時代とともに研究の質が進歩するにしたがって,この有益な効果は消失する.

結論:現在,早産前の母体へのフェノバルビタールの投与は,ルーチンの臨床行為としては推奨できない.今後実施される試験においては,週数ごとに分類しランダム化後の除外例が最小限になるようにして,PVHのリスクが高い週数での出生前のフェノバルビタール投与の影響を調べるべきである.追跡調査における神経発達の状態は最も重要な結果として評価されるべきである.


Citation: Crowther CA, Henderson-Smart DJ. Phenobarbital prior to preterm birth. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:六車浩史/佐藤孝道)