急性虚血性脳卒中におけるペントキシフィリン, プロペントフィリン と ペンチフィリン術

Pentoxifylline, propentofylline and pentifylline in acute ischaemic stroke

Bath PMW, Bath FJ, Asplund K

最終更新日:11/06/1996


目的:経静脈または経口メチルキサンチン誘導体(ペントキシフィリン,プロペントフィリンとペンチフィリン)が,急性虚血性脳卒中患者において,安全性と早期(<=28日)と後期(<1年)の患者致死率と罹患率を減少させるかどうかを判断する.

検索方法:MEDLINE,EMBASE,ISIの他の検索や製薬会社の記録を加味したコクラン脳卒中レビューグループの検索方法.

選択基準:公開または非公開の,ペントキシフィリン,プロペントフィリンまたはペンチフィリンとプラセボまたは対照薬が比較されている,脳卒中発症から1週間以内に試験に組み込まれた,完了したランダム化比較試験.

データ収集と解析:次のアウトカムに関するデータが抽出された.早期および後期患者死亡率,神経学的障害,能力障害,生活の質(QOL),脳卒中再発,静脈性血栓塞栓症と出血.

主な結果:6つの試験が確認されたが,1つは結果待ち状態にある.5つの試験には793例の患者(ペントキシフィリンの4試験(実薬393例 対 プラセボ370例),プロペントフィリンの1試験(実薬15例 対 プラセボ15例))が含まれていた.ペンチフィリンの完了した試験は確認されなかった.早期死亡がメチルキサンチン誘導体を投与された408例中34例で,プラセボ群の385例中49例で起こった (オッズ比 0.64,95%信頼区間 0.41-1.02) .ペントキシフィリン単独の分析は,同様に早期死亡のオッズ比で非有意な減少(オッズ比 0.65, 95%信頼区間 0.41-1.04)を示した.この減少は主に,早期死亡について高度に有意な減少を示した1つの試験の所見(オッズ比 0.10, 95%信頼区間 0.02-0.44)によるものだった.2つの試験が死亡と悪化について評価され,非有意な減少(オッズ比 0.49, 95%信頼区間 0.20-1.20)が認められた.ただ1つのプロペントフィリンを用いた試験で後期死亡率が評価された(オッズ比 0.70, 95%信頼区間 0.13-3.68).神経学的機能障害と能力障害に関連する公開データは,分析に適合した形式のものはなかった.生活の質(QOL),脳卒中再発,血栓塞栓症または出血に関するデータは入手できなかった.

結論:不十分な患者数で研究されており,メチルキサンチン誘導体が患者の死亡率と罹患率を減少させるかどうかは,現時点でははっきりしていない.大規模ランダム化比較試験がペントキシフィリン(またはプロペントフィリン)の安全性と有効性を評価する為に必要であろう.急性虚血性脳卒中患者に対するルーチンでのメチルキサンチン誘導体投与は,現時点では推奨できない.


Citation: Bath PMW, Bath FJ, Asplund K. Pentoxifylline, propentofylline and pentifylline in acute ischaemic stroke. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:福井直仁/濱崎圭三,中村英治)