妊娠中の栄養指導

Nutritional advice in pregnancy

Kramer MS

最終更新日:29/04/1996


目的:食事のカロリーとタンパク摂取を増加させる妊婦の栄養指導が,妊娠中の体重増加と妊娠予後に対しどのような効果があるかを評価する.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループによって維持・更新された臨床試験のレジスター.

選択基準:栄養指導が1対1か,グループで行われたかを比較した,すべての容認できる比較試験.

データ収集と解析:データは出版された報告から著者らによって抽出され,著者が連絡を取った原著者からの追加情報を得た.

主な結果:カロリーとタンパク摂取を増加させる栄養指導は,目的の達成には成功したかにみえるが,その増加はタンパク質/カロリーを実際に補った試験での報告よりは低い.妊娠予後に対する効果についてのデータは1989年のKafatosの報告だけで,クリニックによるランダム化にもかかわらず,その分析は個々の妊婦に基づいて行われ,算出された信頼限界は明らかに狭すぎる.さらに,指導による早産の有意な減少は,平均妊娠週数の影響が全くないことと矛盾する.1962年,Hankinは子前症の頻度は減少しないことを報告した.遷延分娩や帝王切開のリスクが増加するような胎児の大きさに伴う潜在的な副作用についての報告はされていない.

結論:栄養指導は妊婦のカロリーとタンパク摂取を増加させる効果はあるが,得られた試験からは胎児・新生児・母体の健康に対する影響は判断できない.実際のタンパク質/カロリー補給がわずかに健康によいことは示されているが(’妊娠中のバランスのとれたタンパク質/カロリー補給’のレビューが進行中),このような指導がとても大切ではないだろう.


Citation: Kramer MS. Nutritional advice in pregnancy. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:八重ゆかり/佐藤孝道)