妊娠初期における悪心と嘔吐の治療

Treatments for nausea and vomiting in early pregnancy

Jewell D, Young G

最終更新日:16/04/1998


目的:妊娠初期における悪心と嘔吐に対する様々な治療法の効果を評価すること.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループによって維持・更新された臨床試験レジスターおよびコクラン比較臨床試験レジスター(CCTR)も調査された.詳細は方法セクションを参照のこと.

選択基準:妊娠初期における,悪心かつ/または嘔吐に対する,あらゆる治療法に関する,出版または未出版のランダム化比較試験(RCT).

データ収集と解析:2人の判定者が試験を査読し,試験の質の評価を別々に行い,レビューに組み込むためのデータを別々に抽出した.どちらともとりうるデータは利用可能な別の連続したデータとして用いられた.

主な結果:24のランダム化比較試験が確認された.その内の4つはレビューから除外された.悪心に対しテストされた治療は:別々の抗ヒスタミン薬投与;ビタミンB6(ピリドキシン);Debendox(Bendectin)合剤錠;それにP6指圧法.妊娠悪阻について,生姜を用いた治療と副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)注射の治療の2つの試験が確認された.制吐剤を用いた薬物療法による悪心の減少には明らかな証拠があり,オッズ比0.17 (95%CI 0.13-0.21)である.

結論:制吐剤投与は妊娠初期の悪心の頻度を減少させる.副作用に関するいくつかの証拠があるが,胎児への作用に関する情報はほとんどない.より新しい治療の中では,ピリドキシン(ビタミンB6)が激しい吐き気に有効である.P6指圧法の試験の結果は,はっきりしない.妊娠悪阻の治療を目的とした,副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を用いた試験結果は,有益であるという証拠を示していない.生姜は有益かもしれないが,今のところ証拠は弱い.


Citation: Jewell D, Young G. Treatments for nausea and vomiting in early pregnancy. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:溝渕泰三/岡田慶子、岡田 隆)