呼吸窮迫症候群(RDS)治療における天然サーファクタント抽出物と人工サーファクタントの比較

目的：呼吸窮迫症候群(RDS)となった未熟児に対する，人工サーファクタントの効果を天然サーファクタントの効果と比較する．

検索方法：Oxford Database of Perinatal Trials，MEDLINE(MeSH 用語: pulmonary surfactant; 制限: age groupをnewborn infantに限定)，孫引きを含む過去のレビュー，抄録，カンファレンスやシンポジウムの予稿集，専門的な情報提供者，主に英語で書かれた雑誌のハンドサーチ，が検索された．

選択基準：RDSの未熟児に対して人工サーファクタント投与と天然サーファクタント抽出物投与を比較した，ランダム化比較試験がこのレビューの為に検討された．

データ収集と解析：気胸，動脈管開存，壊死性腸炎，脳室内出血(すべての脳室内出血と重症脳室内出血)，慢性肺疾患，未熟児網膜症，死亡率を含む臨床結果のデータは，筆頭著者(R.Soll)により抽出された．データ解析は，コクラン新生児レビューグループの基準に従ってなされた．

主な結果：メタ・アナリシスは，気胸のリスクが有意に減少(典型的な相対危険率は0.69, 95%CI 0.57, 0.85;　典型的なリスク差は-0.04 95%CI -0.06, -0.02)することを支持している．天然サーファクタント抽出物に不利な点は，他の結果では認めなかった．天然サーファクタント抽出物に関連して，死亡率を減らす傾向が認められた．

結論：RDSの治療には天然サーファクタント抽出物も人工サーファクタント抽出物も共に有効である．天然サーファクタント抽出物を使用すると，補助呼吸の必要性がかなり早期に改善し，気胸も少ないという比較試験の結果である．臨床的には天然サーファクタント抽出物の方がより望ましい選択のようである．

Citation: Soll RF. Natural surfactant extract vs synthetic surfactant in the treatment of established respiratory distress syndrome . In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.