胎児仮死に対する母体酸素療法

Maternal oxygen therapy forfetal distress

Hofmeyr GJ

最終更新日:10/01/1996


目的:周産期予後について,分娩中の胎児仮死に対する母体酸素療法(part 1)と分娩第2期の予防的酸素療法(part 2)の効果を,最良の得られる根拠に基づいて評価する.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループによって維持・更新された臨床試験のレジスター.

選択基準:組み込まれた基準は以下の通り:分娩中の胎児仮死に対する母体酸素療法(part 1)と分娩第2期の予防的酸素療法(part 2)の効果を,臨床的に意味のあるかどうか,コントロール群(酸素療法なし)と比較する臨床試験,治療群とコントロール群にランダムに割付したもの,割付が守られていないが,結果に実質的な影響がでるほどではないもの.Part 1:研究はみられなかった.Part 2:予め決めた組み込みの基準を満たす研究が認められた.

データ収集と解析:データは以下の基準に合えば分析された:

観察者のバイアスを最小限にする合理的評価方法,プロトコール違反に関係なく最初の割付通りに示されたデータ,比較をする上に実質的に影響しない消失したデータ,分析に適した形式で得られたデータ.

主な結果:分娩第2期の予防的酸素療法は臍帯動脈pH7.20未満の症例の多くと関連しており(オッズ比4.60, 95%信頼区間1.31から16.23),有意ではないが,1分後アプガースコア7未満の症例はは少ない傾向があり,異常胎児心拍モニター,5分後アプガースコア7未満,新生児蘇生の必要性に関する効果は明かではなかった.

結論:研究規模が小さいため,レビューされた試験結果は注意して解釈すべきである.結果は分娩第2期の予防的酸素療法を支持していない.分娩中の胎児仮死の管理のために母体酸素療法の有効性の評価をするランダム化試験が必要である.


Citation: Hofmeyr GJ. Maternal oxygen therapy forfetal distress. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:八重ゆかり/佐藤孝道)