子供がアトピーになるハイリスクである場合における授乳中の母親の抗原回避

Maternal antigen avoidance during lactation in women at high risk for atopic offspring

Kramer MS

最終更新日:08/07/1996


目的:母乳栄養中の新生児期に,母親に抗原回避食を摂取させることが,幼児期にアトピー性疾患へ発展することに及ぼす効果を評価すること.主な対象は,母親,父親または前児におけるアトピー疾患の病歴から,その児がアトピー状態に発展するハイリスクがある女性である.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループにより維持・更新された臨床試験のレジスター.

選択基準:授乳中のハイリスクの女性に対して抗原回避を指示した比較試験.抗原回避の程度(食餌から除かれた食物数)や期間は考慮していない.母乳以外の食餌療法や,食餌以外の環境要因(例えば吸入アレルゲンへの暴露)など多様な介在を行った例はレビューから除外された.

データ収集と解析:データは出版された論文から判定者によって抽出され,判定者によって連絡を取った原著者から情報が追加補充された.

主な結果:3つの有効な試験を総合したデータは,母親の抗原回避は生後12〜18カ月の児のアトピー性湿疹の頻度を減少させる強力な効果があることを示唆している.しかしながら,これらの有効な結果を利用するには,3つの試験ともに方法論的な欠点があり,注意が必要である.特に3つの試験ともに,コントロール群のアトピー発生率が高く,これは医師の試験方法が盲検でなかったり,不十分な盲検であったりすることによるのだろう.

結論:授乳中のハイリスクの女性に抗原回避食を指示することは,子供がアトピー性湿疹になる危険を実質的に減少させるだろう.しかし,さらによい試験が必要とされる.


Citation: Kramer MS. Maternal antigen avoidance during lactation in women at high risk for atopic offspring. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:久住真喜子/佐藤孝道)