ヒトマラリアワクチン

Human malaria vaccines

Graves P

最終更新日:14/05/1997


目的:マラリア伝染予防又は発病やマラリアからの死を予防するヒトマラリアワクチンの有効性を決めること.

検索方法:マラリアワクチンに関する出版・未出版の試験をMEDLINE検索,出版物での引用,学会での発表,個人的な連絡を通して同定した.

選択基準:Plasmodium falciparum,P.vivax,P.malariae又はP.ovaleに対するワクチンをプラセボ群と,臨床上の効果又は寄生虫学的効果のアウトカムで比較するランダム化比較試験を選んだ.

データ収集と解析:ワクチン群とプラセボ群の総患者数,それぞれのアウトカムの数,そして追跡期間は試験のレポートから求めた.オッズ比そして95%信頼区間は二分のアウトカムについてピートの方法によって求められた.ワクチン有効性の推定はオッズ比から求められた.

主な結果:さまざまな年齢グループや伝染地域の中で実施されたSPf66ワクチンの6つの試験の中でワクチンは,臨床のP.falciparumマラリアの最初の発病の発症率を23%(95%CI 12%〜32%)に減少させた.これらの試験の5つの中でSPf66ワクチンはP.falciparumの臨床エピソード総数で39%(95%CI 30%〜47%)の減少があった.NANPを基礎としたワクチンの4つの試験はP.falciparumの発症率の減少についての有効性がなかった.

結論:SPf66を用いるワクチン注射によって臨床のP.falciparumマラリアの発症の控えめだが有意な減少があった.この結果はSPf66の広範囲で日常的な使用を正当化しない.各試験間で方法論や疫学的な相違や,重大なアウトカムでの効果についての情報がないため,さらなる研究が必要である.NANPを基礎としたワクチンで時間を調査した有効性の証拠はなかった.


Citation: Graves P. Human malaria vaccines. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:矢野利枝/吉村 学,村上智彦)