B群溶連菌に対する分娩中の抗生物質

Intrapartum antibiotics for Group B streptococcal colonisation

Smaill F

最終更新日:05/12/1994


目的:乳児のGBSの保菌状態,早期に発症する新生児のGBSによる敗血症,感染による新生児死亡について,B群溶連菌を持った女性に対する分娩中の抗生物質投与の効果を研究する.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループにより維持され,更新された比較試験の特別な登録より研究は確認された.

選択基準:B群溶連菌を持った妊婦に対して,分娩中に抗生物質を投与することを,無治療の群と比較したすべての比較試験で,乳児のGBSの保菌状態かつ/または新生児感染のデータが提供されているものを選んだ.

データ収集と解析:割付方法,対象の特徴,介入方法,予後についての情報が,候補となった研究から,判定者によって抽出された.2×2表のオッズ比は,固定した効果モデルを用いてピートのone step法により計算された.

主な結果:5つの研究が選ばれたが,すべての研究で潜在的な選択バイアスがみられ,全体の研究の質はよくなかった.分娩中の抗生物質の投与によって,乳児のGBSの保菌状態(OR 0.10, 95%CI 0.07-0.14)と早期発症の新生児GBS感染(OR0.17, 95%CI 0.07-0.39)の率は減少したが,新生児死亡率には差はなかった(OR 0.12, 95%CI 0.01-2.00).

結論:B群溶連菌を持った女性に対する分娩中の抗生物質治療は,新生児GBS感染を減少させる.現在のガイドラインはこの勧告を含んでいる(CDC 1996).これらのガイドラインがうまく運用されるには,母体のGBS感染を見つける効果的戦略が必要である.また,他の予防的戦略の影響をもっと正確に評価するには,異なる集団における新生児GBS感染に対する母親の危険因子について,より良いデータが必要とされる.


Citation: Smaill F. Intrapartum antibiotics for Group B streptococcal colonisation. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:秋山香乃/佐藤孝道)