反復性流産に対する免疫療法

Immunotherapy for recurrent miscarriage

Scott JR

最終更新日:28/07/1996


目的:反復性流産の既往をもつ婦人に対して白血球免疫療法や他の免疫学的治療が生児分娩率を改善するかどうか判定すること.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループにおいて維持・更新された臨床試験のレジスター.反復性流産に対する父由来の白血球免疫療法や他の免疫学的治療研究からの患者に関するそれぞれのデータがアメリカ生殖免疫学会とMEDLINE検索を通して集められた.

選択基準:ランダム化比較試験のみが選別された.検討基準に当てはまる婦人は 1)3回以上の流産歴をもつ 2)生児を生んだことがない 3)非免疫学的原因はすべて除外されている 4)同時に行われている治療がない.

データ収集と解析:患者個人のデータは標準化様式や2重登録データを利用して集められた.

主な結果:対照群に対する治療群の生児分娩のオッズ比,95%の信頼区間は以下の通りであった.父由来細胞の免疫療法はオッズ比1.36(CI:0.92-2.00).第三者からの細胞による免疫療法はオッズ比1.38(CI:0.68-2.82).トロホブラスト細胞膜注入療法はオッズ比0.39(CI:0.10-1.45).免疫グロブリン静脈内投与法(IVIG)はオッズ比1.23(CI:0.60-2.51).

結論:このレビューの結果をもとにすれば,原因不明の反復流産に対して父由来細胞の同種免疫療法の効果は疑問である.何らかの免疫治療効果があったとしてもそれは小さいようであり,少数の患者夫婦に対してしか役立っていないであろう.第三者の白血球療法,トロホブラスト細胞膜療法,IVIGは次回の流産の予防に対してプラセボを上回る有意な効果はないようである.


Citation: Scott JR. Immunotherapy for recurrent miscarriage. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:秋山香乃/佐藤孝道)