ハイリスク妊娠における胎児の状態を評価する内分泌的胎盤機能検査の意義

The Value of Hormonal Placental Function Tests In Assesing Fetal Status In High Risk Pregnancies

Cloherty LJ, Neilson JP

最終更新日:24/02/1997


目的:ハイリスク妊娠の管理において胎盤ホルモン値の測定は有益かを決定すること.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループにより維持・更新された臨床試験のレジスター.追加情報のためにMidlineの検索も行われた.

選択基準:ハイリスク妊娠における内分泌的胎盤機能検査を評価する目的で行われたすべての適切な比較試験.

データ収集と解析:データは出版された報告から判定者が抽出し,結果は同僚(Rahul Mistry)によってチェックされた.試験報告を読み,レビューの方法論に設けられた設問に答えることで有効性を評価した.

主な結果:Duedoelterの試験(エストリオール試験)では,622例の妊婦のうち19人の周産期死亡があり,500g以上の周産期死亡率は出生1000対30.5となった.正常のエストロゲンパターンはA群(報告された群)で263人,B群(報告されなかった群)で254人であった.周産期死亡率はそれぞれ出生1000対15.2と19.7であった.異常なエストロゲンパターンはA群で52人,B群で53人で,それぞれ5人死んでおり,周産期死亡率はA群で1000対96,B群で1000対94であった.Spellacyの試験(ヒト胎盤ラクトーゲン)では,HPLレベルが胎児の危険域にあった妊婦に21人の周産期死亡があった.2733人が試験に参加し(1362人が治療群1371人がコントロール群),そのうち230人が異常なHPLレベルであった(117人が治療群,113人がコントロール群).治療群では4人(3.4%)が死亡し,コントロール群では17人(15%)が死亡した.

結論:胎盤機能の内分泌的評価を用いることは,ただ2つの適切な試験からは支持されない.ハイリスク妊娠におけるHPLの測定は,いくらか価値があるかもしれず,得られた根拠からはその価値を減ずることはできない.さらなる研究が行われる必要があるが,もっと先進国では,バイオフィジカルテストが生化学検査に広くかわって用いられているので,行われそうにない.


Citation: Cloherty LJ, Neilson JP. The Value of Hormonal Placental Function Tests In Assesing Fetal Status In High Risk Pregnancies. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:福井直仁/佐藤孝道)