社会生活的に不利な立場の母親に対する家庭を基盤とした社会的援助

Home-based social support for socially disadvantaged mothers

Hodnett ED, Roberts I

最終更新日:06/01/1997


目的:最近出産した社会的に不利な立場の女性(例えば貧困,若年,スラム地区住人,未婚女性)に対して家庭を基盤に置いた追加的援助プログラムが母児の健康に与える影響を評価すること.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループにより維持・更新された臨床試験のレジスター.

選択基準:研究参加者がランダムまたは準ランダムに介入群と対照群に割付けられた試験であり,さらに最近出産した社会生活的に不利な立場の女性に対して家庭を基盤にした追加的援助を目的に一回以上の産後の家庭訪問が研究方法とし行われている研究がこのレビューに含まれた.

データ収集と解析:出版論文の著者により行われた.

主な結果:家庭を基盤とした社会的援助は子供の受傷率を有意に減少させる可能性がある.家庭を基盤にした援助は子供に対する虐待・無関心さも減らす可能性があるが,訪問家庭と非訪問家庭間における子供虐待に対する区別したこの観察研究の課題点はランダム化比較試験における重大な方法論的問題点となる.追加的援助を受けたグループの子供は病気に対する十分な免疫力を獲得しやすいようである.追加的援助が生後1年間の子供の入院に対して与える影響を調べた2つの試験結果によれば(OR=0.66,95%CI 0.14,1.08),援助を受けた家庭の子供は入院することが少ないという結論を導き出すにはさらに研究が必要であることを示している.他の大部分の結果についてはそれぞれの研究によって評価されており,その結論は現段階では仮説としてみるべきである.各試験では,追加的援助は定期的健康診断受診を逃したり,カンジダ性おむつかぶれに罹患したり,または生後26週以前に無調整牛乳を与えられる子供の数の減少に関連していた.

結論:生後において家庭を基盤にした援助プログラムにはリスクは認められず,社会的に不利な状況下の母児に対して大きな利点をもつ可能性がある.一般社会で生活している経験豊かな母親の技量を利用したプログラムは,健康管理専門家チームにより完全に病院内で行われる場合よりも安価でありまたより文化的に受け入れられやすい.


Citation: Hodnett ED, Roberts I. Home-based social support for socially disadvantaged mothers. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:久保理恵/佐藤孝道)