医療従事者に対するB型肝炎のワクチン

Vaccines against hepatitis B in health-care workers

Jefferson T, Demicheli V, Deeks J, MacMillan A, Sassi F, Pratt M

最終更新日:30/04/1997


目的:医療従事者に対するB型肝炎感染やその併発症を予防守ることを目的として,急性および慢性B型肝炎に対してのワクチンの有効性や安全性を評価すること.

検索方法:標準コクラン戦略を使ったMEDLINEやEMBASEの検索,コクラン・ライブラリー,雑誌"Vaccine"の全文検索,検索された論文の参考文献,および,著者,研究者や製薬会社の文書 

選択基準:酵母菌由来のワクチンおよび血清由来のワクチンと,非介入,プラセボおよび他の疾患のワクチン(コントロールのワクチン)とのランダム化された比較が,すべてオリジナルで前向きに行われた.試験の質の評価は,以下のように行った.1.割付けスケジュールの世代 2.治療割付けを伏せたままの測定 3.試験結果の分析時の,割付けた医療従事者の参加者の脱落 4.双盲試験の書式の測定.試験報告は著者から離され,また協力者,参考文献,イントロダクション,結果,ディスカッションからも伏せられてなされた.

データ収集と解析:効果を評価するために,レビューに採用された試験の中で,急性B型肝炎の発病率をワクチン接種群と対照群のサーベイランスから得た.安全性については全身性(倦怠,悪心,発熱,関節痛,皮疹,頭痛)もしくは局所性(接種場所の硬結や痛み)に分類され副作用の率として評価された.

主な結果:4つの試験が基準を満たし,同定されたので,データを統合した.すべての試験は血漿由来のワクチンとプラセボを比較したものであった.そのセッティング(そして発生率のレベル)において3つ研究とDienstagの研究の違いのため,透析ユニットで行われた3つの研究で比較グループを層別化した.層別化の後,Desmyten,SmuznessそしてCrosnierのグループは同質であるとされた(カイ二乗=0.11,自由度=2).治療を必要とするハイリスクグループにおける効果と安全性は,我々の推定で,B型肝炎のでオッズ比(OR)0.34で,95%CI(0.21〜0.55)であった.解析ではまた低リスクの医療従事者において有用性は傾向はあるものの有意ではなかった(Dienstag試験,OR 0.26 (0.05〜1.30).全体として見るとワクチンを接種した方がいいであろうという強い根拠を得た(OR 0.33, 95%CI 0.21〜0.53).研究の中で腕の左右での副作用の発生と重症度に差はなかった.計算上,一例のB型肝炎の発症を防ぐため血漿由来のワクチンを私たちは145人(ベースラインで一年千人当たり10例の場合)から7人(一年千人当たり200例の場合)の範囲で医療従事者に接種する必要があった.4研究すべてが完璧な報告はなく,プラセボ群におけるHBs抗体やHBc抗体の抗体価の報告がされていなかった.試験をレポートすることの完全であることはプラセボの腕の中でB型肝炎の表面抗原やB型肝炎の核抗原に対する抗体で力価の結果をレポートするため4つの試験の失敗で良くなかった.(4人の著者のうちの2人については,その省略の理由について明らかにされなかった).質を評価する4指標すべてについて4つの試験ともいい結果ではなかった.(割付けスケジュール作成世代,割付け方法を伏せての測定,割付けられた参加者の解析からの除外,双盲を守る手段の調査)では,4つすべての研究が中で低スコアであった.平均追跡期間は14.5ヶ月だった.

結論:腎透析や移植部門単位のスタッフのような高リスクの医療従事者において血漿由来のワクチンは有効かつ安全であることが明らかとなった.低リスクの医療従事者でのワクチンの有効性はいい傾向にはあったがはっきりしなかった.私たちはこのレビューに含まれた4つ研究が短期間調査のために長期間の効果についての根拠は明らかでない.研究の報告書が,例えば年齢に関してなどであるが,あまり標準化されていないことがわかった.


Citation: Jefferson T, Demicheli V, Deeks J, MacMillan A, Sassi F, Pratt M. Vaccines against hepatitis B in health-care workers. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:矢野利枝/岡山雅信,石川鎮清)