体外受精における成長ホルモン

Growth hormone in in vitro fertilization

Kotarba D, Kotarba J, Hughes E

最終更新日:27/01/1995


目的:IVFの前に排卵誘発を行う女性をa)排卵誘発困難の既往がない群とb)排卵誘発困難の既往がある群の2群に分け,これらに対する成長ホルモン補助療法の有効性を評価すること.

検索方法:このレビューは全体としてコクラン生殖能力低下グループのために開発された検索方法を利用した.同グループの比較臨床試験特別レジスターから関連する試験を確認した.詳しくはレビューグループの詳細を参照.

選択基準:上掲の研究的問いを扱っており,介入群とコントロール群に対する結果のデータが得られるランダム化比較試験をすべて含めた.注目した結果は妊娠,卵と受精卵の数とエストラジオールの最高値であった.

データ収集と解析:データの抽出:1966年から現在までの主要な43雑誌のハンドサーチ,関連する研究の文献目録,MEDLINEデータベース,北米と欧州における学会の予稿集,関連する研究の著者との連絡,といった多様な検索方法がとられた.関連するデータは標準化されたデータ抽出用紙を用いて,2人の判定者によって別々に抽出された.ランダム化の方法,追跡調査の完全性,クロスオーバー法や副研究の有無に関して妥当性を評価した.データの生成:すべての関連する結果に関する2x2表を作成した.マンテル・ヘンツェル法のピート変法を用いてオッズ比を計算した.統計学的な不均一性はカイ2乗検定を用いて評価した.

主な結果:排卵誘発困難の既往がない女性では周期あたりの妊娠のオッズ比は0.97(95%CI 0.34-2.76)であった.ゴナドトロピンの総投与量と採卵数は治療群とプラセボ群で同じだった.排卵誘発困難の既往がある女性では,周期あたりの妊娠のオッズ比は2.55(95%CI 0.64-10.12)であった.すべての研究を考慮すると,こちらもゴナドトロピンの総投与量と採卵数の有意な差はなかった.

結論:6つの小規模な試験からは,排卵誘発困難の既往がない女性において,GHの追加は妊娠率を改善しないことが示唆される.排卵誘発困難のある女性ではGH療法によって結果が改善する傾向が認められるが,この点はさらに研究する価値がある.


Citation: Kotarba D, Kotarba J, Hughes E. Growth hormone in in vitro fertilization. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:日野村 靖/佐藤孝道)