急性虚血性脳卒中におけるグリセロール

Glycerol treatment in acute ischaemic stroke

a' Rogvi-Hansen B, Boysen G

最終更新日:10/02/1994


目的:急性虚血性脳卒中におけるグリセロール静注が短期または長期間に死亡率と機能予後に影響するかどうか,また治療が安全かどうかを判定する.

検索方法:すべての,完了した,ランダム化し,比較した,交絡のいない,公表された研究で,脳卒中発作後最初の4日間に開始したグリセオール静注治療の臨床的アウトカムを評価したもの.

選択基準:グリセオール静注と対照を比較したランダム化試験が,8つ完了している.

データ収集と解析:あらゆる原因による死亡,機能的アウトカムと,副作用.

主な結果:短期間における死亡の分析は,6つの試験で可能であり,そこではグリセロール治療を受けた患者226例が対照としての患者228例と比較された.6つの試験からの短期間の場合の致死率の分析は,95%の広い信頼区間(9-64%)で死亡のオッズは37%減少した.長期間における死亡の分析は,5つの試験で行われ217例のグリセオール治療の患者が214例のプラセボ治療の患者と比較された.オッズの減少は18%で,95%の信頼区間は死亡の危険率の23%の増加と46%の減少の範囲内であった.この治療は,中程度の神経学的欠損所見を持つ中等度患者サブグループの機能的アウトカムを改善するかもしれない.ただ,溶血だけが副作用としてみられる.

結論:メタ・アナリシスは,グリセオール治療が広い信頼区間で脳卒中発作後最初の週の生存に対する確実な効果を示した.長期間の結果の分析は,治療群の生存の統計学的有意な改善は見られなかった.このシステマティック・レビューで入手可能な患者の数は急性虚血性脳卒中におけるグリセロール治療の効果を決めるには少なすぎる.


Citation: a' Rogvi-Hansen B, Boysen G. Glycerol treatment in acute ischaemic stroke. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:大西優里/三瀬順一,河合 徹)