下肢アテローム性動脈硬化症に対するニンニク

Garlic for lower limb atherosclerosis

Jepson RG, Kleijnen J, Leng GC

最終更新日:20/08/1998


目的:末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)の治療で,ニンニク(乾燥および非粉末)の有効性を確立するため.

検索方法:コクラン末梢循環障害レビューグループにより記載された検索方法を用いて,下肢アテローム性動脈硬化症におけるニンニク治療のランダム化比較試験を探した.それに追加した検索方法は,AMEDの検索(類似療法と代替療法のデータベース),EMBASEそしてBIDS ISI,試験の主な研究者との直接接触,ニンニク治療における専門家との接触,ニンニク製造をしているとしてリストに上がっていた製薬会社との直接接触である.

選択基準:下肢アテローム性動脈硬化症の患者の治療にニンニク対プラセボが使われた全てのランダム化試験.大動脈疾患は除外された.二つの主なアウトカム評価が考察された.すなわち,潜在的なアテローム性動脈硬化症の進行の客観的な評価(例えば,足首の血圧,トレッドミルテスト,血管造影),そして主観的評価(例えば,症状の進行).

データ収集と解析:1つの試験だけが包含基準を満たし,除外はなかった.レビュアーは痛みのない歩行距離の結果に対して独立にデータを抽出した.他の興味のある結果は試験では測定されていなかった.

主な結果:12週間の治療の後に,痛みの無い歩行距離はニンニク群では161から207mに,プラセボ群では172から203mに増加した.これは統計学的に有意な差でなかった.収縮期および拡張期血圧,心拍数,足首と上腕の血圧においては差がなかった.重篤な副作用は観察されなかった,またニンニク群の9人の患者(28%)とプラセボ群の4人(12%)がニンニクの臭いが気になると訴えた.

結論:1つの小さな短期間の試験では歩行距離において効果がみられなかった.それゆえ,この段階では,末梢動脈閉塞性疾患の治療にニンニク療法は勧められない.末梢動脈閉塞性疾患の治療に対するニンニクの有効性を調べるため,さらに試験が必要である.これらの試験は大規模で長期的であるべきである.


Citation: Jepson RG, Kleijnen J, Leng GC. Garlic for lower limb atherosclerosis. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:糸矢宏志/鶴岡浩樹)