急性虚血性脳卒中におけるgangliosides

Gangliosides in acute ischaemic stroke

Candelise L, Ciccone A

最終更新日:22/11/1996


目的:急性脳卒中におけるgangliosidesによる治療が致死率や能力障害を減少することにおいて有効であるか,または一般的使用に十分安全であるかどうかを評価するために,そのような治療の臨床試験のシステマティック・レビューをまとめること.

検索方法:脳血管疾患のgangliosidesにおける,すべてランダム化比較試験がコクラン脳卒中グループの検索方法によって調べられた.

選択基準:選ばれるべき研究は,虚血性脳卒中が明確またはそれらしいとみなされ,発症して15日以内にランダム化されて,どんなタイプのものであれgangliosides(治療期間,投薬量,投与経路とは無関係に)またはコントロール(プラセボまたは一般的な治療)に割付けられたものでなければならない.研究は,ランダム化されたいずれの割付けにおいても少なくとも致死率のデータが入手可能であることが考慮された.

データ収集と解析:予定追跡期間の終わり(30〜180日)における致死率は,10の臨床試験すべてについて考慮された唯一のアウトカムであった;これらの研究において,完全で均一に報告された情報が不足していたために従属の患者の数を抽出することは不可能だった.2つの研究は,追跡の終わりにおける生存者について同じシステムスコア,Barthel index の平均と標準偏差を報告していた.いかなる有害な事象の発生数も集められた.

主な結果:10個の臨床試験には,合計2077人の患者が含まれた(精製したmonosialoganglioside GM1で治療した1045人とコントロールの1032人).治療の致死率のオッズ比はコントロールと比較して0.89であり(95% 信頼区間0.71〜1.11),また臨床試験の間に有意な不均一性がなかった.(p=0.51) その上,感度の解析は治療の利益となるような有意な結果が全く示されなかった.(OR=0.80;CI 0.71〜1.09) 我々は,早期治療(48時間以内)と遅延治療の効果の間のいかなる違いも見いだせなかった.GM1で治療した62人の患者と56人のコントロールとの間の加重平均 Barthel index スコアの違いは8.6であった.(95%CI 1.2〜6.3) GM1で治療した1人の患者は,ギラン-バレー症候群に発展した.

結論:このシステマティック・レビューによって得られたデータは,急性脳卒中におけるgangliosidesのいかなる便益についても明確な結論を引き出すには不十分である.gangliosides治療の後のギラン-バレー症候群の散発例がgangliosidesが販売された異なる国において報告されているので,もしそれらの有効性の証拠を入手することができない限り,臨床の実際でこれらの薬物を使うことは避けられるべきである.


Citation: Candelise L, Ciccone A. Gangliosides in acute ischaemic stroke. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:久住真喜子/三瀬順一,河合 徹)