関節外大腿骨骨折の治療におけるGamma釘とsliding hip screwとの比較

Gamma釘 versus sliding hip screw for the treatment of extracapsular femoral fractures

Parker MJ, Handoll HHG, Robinson CM

最終更新日:11/11/1996


目的:骨の成熟した成人の大腿骨近位の関節包外骨折(大腿骨頚部外側骨折)の外科的治療におけるGamma釘とsliding hip screw (SHS)の比較.考察されたアウトカムは a)骨癒合の際の合併症 b)手術の詳細 c)術後合併症 d)最終的なアウトカムを含んでいる.

検索方法:コクラン筋骨格−外傷グループの一般的調査法を用いて,整形外科関連の雑誌と(整形外科)学会誌のなかから,ハンドサーチを行い, 関連する文献の参考文献リストを調査し,1996年6月までの研究を検索した.

選択基準:これら2つのインプラント(Gamma釘とsliding hip screw (SHS))を比較しているランダム化比較試験及び準ランダム化比較試験,全てを対象とした.すべての言語での出版物を対象とした.

データ収集と解析:データはすでに発表されているものから抜粋され,それ以外の情報は試験者から得た.可能な限りのアウトカムを収集した.研究の方法論的な質の評価は,割付けの密封性に基づいて評価し,これを10点法で点数をつけた.感度の分析では,割付けの密封性の状況,手術経験に関する報告について探究された.

主な結果:10個のランダム化比較試験及び,準ランダム化比較試験から1,600人以上の患者のデータがこのレビューに含まれた.しかし,1,600人以上データが失われた. Gamma釘は,術中,術後の大腿骨骨折や,再手術の増加との関連が認められた.一方,2つのインプラントのあいだに,創感染や合併症,死亡率などでは,大きな差は認められなかった.その他,失血,手術の長さ,在院日数,疼痛の残存,可動性,生活状況については,はっきりとしたことが言えるだけのデータはない.

結論:SHSは,Gamma釘と比較して合併症の率が低く,転子部骨折にはより良いデバイスといえる.ほかの研究からの,より多くのデータや,under-reportedされたアウトカムが,これを確認するために必要である.ガンマネイルやその改良物がある種の骨折,たとえば,(逆)斜骨折を生じた,転子部骨折や転子下骨折にたいして,より優れているかについて決定するにはさらなるランダム化比較試験を行う必要がある.


Citation: Parker MJ, Handoll HHG, Robinson CM. Gamma釘 versus sliding hip screw for the treatment of extracapsular femoral fractures. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:横田恭子/内堀充敏,白石由里)