急性虚血性脳卒中におけるフィブリノーゲン除去剤

Fibrinogen depleting agents in acute ischaemic stroke

Liu M, Counsell C, Wardlaw J

最終更新日:01/11/1996


目的:急性虚血性脳卒中の治療におけるフィブリノーゲン除去剤の有効性と安全性を決定すること.

検索方法:EMBASEおよび科学的,専門的予稿集のインデックスの検索をプラスしたコクラン脳卒中レビュグループの検索方法,10個の中国の雑誌のハンドリサーチおよび中国,日本の同僚とのやりとり.

選択基準:すべての,最後まで終了した臨床試験で,正しくランダム化または準ランダムされた比較試験で,明らかな脳卒中またはおそらく虚血性の発作であるとされた患者に発作の14日以内に開始されたフィブリノーゲン除去剤の治療とコントロールとの比較試験.

データ収集と解析:以下のアウトカムは2人の著者によって独立して抽出された,追跡期間の終わりにおける死亡と能力障害,予定された治療期間中と追跡期間中のすべての死亡数(死因),肺塞栓症,再発性の脳卒中,脳内出血,重い頭蓋外出血,心筋梗塞.分析は,オッズ比のためのPeto法を使い実行された.

主な結果:3つの臨床試験(わずか182人の患者)が,今までのところこのレビューに含まれている.早期死亡(OR 0.33,95%CI 0.13-0.85)と全体の死亡(OR 0.57,95%CI 0.27-1.23)に関しては治療を支持する傾向があった.出血の危険はとても小さいように見えたが,その危険がアンクロド様剤で有意に大きいかどうか確立するためには,さらに多くのデータが必要とされる.1つだけだが,臨床試験の追跡の終わりにおいて能力障害を示すものがあった.フィブリノーゲン除去剤を割付けられた患者では,死亡または身体障害となるオッズはおよそ半減したが(オッズ比 0.52,95%CI 0.26-1.03)この結果はp<0.05において有意でなかった.

結論:アンクロド様剤が見込みがあるように見えたが,患者およびアウトカムの発生があまりに少なかったので信頼できる結論を現在のデータから導き出すことはできなかった.2つの臨床試験が進行中であり,さらに多くのデータを供給するだろう.もっと一般化できる結果を導くには将来,もっと簡単な一定の用量によるレジメンにより臨床試験を行うべきである.


Citation: Liu M, Counsell C, Wardlaw J. Fibrinogen depleting agents in acute ischaemic stroke. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:久住真喜子/三瀬順一,河合 徹)