小児喘息治療における家族療法

Family therapy in the treatment of childhood asthma

Cates C J

最終更新日:03/09/1996


目的:この研究の目的は,典型的な薬物療法の付属としての家族療法が小児喘息の症状を結果的に明らかに減少させるかどうかをテストするものであった.

検索方法:コクラン気道グループは "Asthma And Wheez* RCT" データベースをEmbase,Medline,CINAHLの包括的検索により作成した.さらには,Phychlitデータベースも検索した. これらのデータベース検索は下記の単語を使って完全化された.すなわち気道グループデータベースはEmbase,Medline,CINAHLをあわせたものである.Embase のデータは,キーワードかテキストワード(タイトル中か要約部分の)"Asthma*" または "Wheez*"という単語の検索により得られた.MedlineとCINAHL中のテキストワードの検索は(タイトル中か要約部分の) "asthma$"か "Wheez$"という単語によった.MedlineとCINAHLのMeSH検索は,"respiratory sounds"と "asthma"の2つのMeSHで実行された.Medlineのデータは1966年から現在までの期間をカバーしている.Embaseの記録は1980年から現在までの記録で,最も初期のCINAHLの記録は1982年からのデータである.気道グループデータベースはこれら3つの電子システムからダウンロードされたデータを含んでいる.検索は気道グループのデータベース中の以下の単語により実行された.

"placebo* OR trial* OR random* OR double-blind OR double blind OR single-blind OR single blind OR controlled study OR comparative study".

それらのデータは,以後分離したRCTのデータに移された.このReviewのための検索は(心理かつコンプライアンス)または(親族かつ治療)または(精神療法)または(家族療法)により,気道グループAsthma and Wheez* RCTデータベース上で実行された:上記に概説した,Embase,Medline,CINAHLに加え,4番目のデータベースであるPhycInfoでも検索が実行された.このデータベースでは,MedlineやCINCAHLと同様に心理関係の見出し(SH)とテキストワード(tw)で検索が可能である.検索は

1. (asthma [SH] OR asthma$ [tw] OR wheez$ [tw]) AND familytherapy

2. ((psychotherapeutic techniques [SH] OR psychotherapy [SH]OR child psychotherapy [SH] OR adolescent psychotherapy [SH] OR cognitive techniques [SH] OR personal therapy [SH] OR therapeutic processses [SH] OR counselling [SH] OR dysfunctional family [SH]) AND (asthma [SH] OR asthma$ OR wheez$)) AND NOT family therapy [SH]

3. ((family [tw] AND therap$ [tw]) AND (asthma [SH] OR asthma$[tw] OR wheez$ [tw])) AND NOT family therapy [SH]

で行った.

選択基準:結果:肺機能,臨床評価,症状と使用薬剤の主観的報告.データ源:ランダム化比較試験はコクラン気道グループのデータベースを使ってつきとめられた.研究の選択:この分野には24の研究を認めた.たった2つだけがRCTであった.最大55人の子供がこの2つのRCTで研究された.しかしほとんどの対照研究当初には登録された子供たちを含んでいなかった.

データ収集と解析:2つの研究からのデータはデータのレベルの違いが存在したので,結び付けることはできなかった.

主な結果:所見: 肺機能:呼気供給割合のピーク(PEFR)も0.75秒中の強制呼気の排出量のどちらのグループ中でも有意差は見出せなかった.しかしながら,ある研究(Lask&Matthew 1979)は,胸部のガス量で対照と比較し,家族療法を受けた患者において改善が見られ,家族療法後には試験グループ中においてPEFRにの改善が見られた.医療評価:ある研究(Gustaffon et al,1986)では家族療法を受けた患者では,機能的に障害された日数(Gustaffon et al,1986)と日中のぜん鳴の回数(Lask&Matthew,1979)で改善がみられた.使用した薬剤:グループ間での差はなかった.

結論:小児喘息の治療に薬物療法の付帯的療法として家族療法の使用は支持されてきた.しかしながら現在の証拠はたった2つのRCTの研究から得られたものである.さらに,この証拠の強さは小さなサンプルのため失われたデータと標準化されていない結果の評価のため,限られたものである.方法論的制限と限定により,より広範囲の人々に一般化されうる結果を導くことは困難である.さらによくデザインされたRCTによって小児喘息の家族療法の有用性を確認することが必要である.



Citation: Cates C J. Family therapy in the treatment of childhood asthma. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:仲川三春/三瀬順一,吉村 学)