精神分裂病患者に対する家族介入

Family intervention for schizophrenia

Mari JJ, Streiner D

最終更新日:23/02/1996


目的:精神分裂病または精神分裂病様の状態の人々をケアするために,地域社会で行う家族への心理社会的介入の効果を評価する.

検索方法:コクラン精神分裂病グループの臨床試験データベース,EMBASE,MEDLINE,PsycLIT の電子検索.同定されたすべての研究の引用文献のハンドサーチ.

選択基準:何らかの心理社会的な介入(5つ以上のセッションを必要とし,入院に制限されない)を受けている精神分裂病または分裂感情障害の患者を持つ家族に焦点を当てたすべてのランダム化比較試験.ランダム化を行なったと記されている12個の研究を包含した.

データ収集と解析:レビュアーは独立してデータを抽出し,オッズ比(OR),重み付け平均差,NNTを推定した.死亡またはドロップアウトした患者は改善なしとみなし,この仮定について最終結果の感度分析を行った.

主な結果:家族介入は再燃の頻度(1年のOR 0.42,95%CI 0.26-0.67)と入院(1年のOR 0.45,95%CI 0.2-0.99)を減少させた.それは薬物のコンプライアンスを向上させ,就業を続けるのを助けるかもしれない.家族介入は,個人あるいは家族がケアからドロップアウトする傾向や感情表出や家族の負担のレベルに対して明らかな有効性はない.このレビューでは,家族介入が自殺を予防するのか助長するのかを示唆するデータは得られていない.

結論:このレビューの結果は,別のヘルスサービスの伝統を持っている地域にも一般化できる.この介入を受けている家族は,精神分裂病の家族の一員について再発がへり,入院がへることを期待できる.しかし,家族の負担,感情表出のレベルは不変である.NNT(例えば,1年間の再発については6.5,95%CI 4.3-14.0)はケアの購入者や提供者よりも臨床医や家族に受け入れられやすいかもしれない.


Citation: Mari JJ, Streiner D. Family intervention for schizophrenia. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:糸目千穂/竹内 浩,古川壽亮)