クロミフェン抵抗性多嚢胞性卵巣症候群に対する尿由来卵胞刺激ホルモンとヒト閉経期性腺刺激ホルモンによる排卵誘発の比較

Ovulation induction with urinary follicle stimulating hormone vs human menopausal gonadotropin for clomiphene-resistant polycystic ovary syndrome

Hughes E, Collins J, Vandekerckhove P

最終更新日:13/02/1996


目的:クロミフェン抵抗性多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)患者におけるFSH連日投与とhMG連日投与の有効性を,妊娠率と中等症ないし重症の卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発症率について比較し判定すること.

検索方法:このレビューは全体としてコクラン生殖能力低下グループによって開発された検索方法を用いた.関連した試験を同グループの比較臨床試験特別レジスターから同定した.詳しくはレビューグループの詳細を参照.

選択基準:すべての関連するランダム化比較試験を選択した.

データ収集と解析:データの抽出:1966年から現在までの主要な43雑誌のハンドサーチ,関連する研究の文献目録,MEDLINEデータベース,北米と欧州における学会の予稿集,関連する研究の著者との連絡,といった多様な検索方法がとられた.関連するデータは標準化されたデータ抽出用紙を用いて,2人の判定者によって別々に抽出された.ランダム化の方法,追跡調査の完全性,クロスオーバー法や副研究の有無に関して妥当性を評価した.データの生成:すべての関連する結果に関する2x2表を作成した.マンテル・ヘンツェル法のピート変法を用いてオッズ比を計算した.統計学的な不均一性はカイ2乗検定を用いて評価した.

主な結果:妊娠率に関して,hMGと比較して半精製FSHの明らかな利点は示されなかった:共通のオッズ比は患者あたり0.66(95%信頼区間 0.35-1.24),周期あたり0.89(95%信頼区間 0.51-1.53).FSHは中等症ないし重症のOHSSの減少と関連しているようにみえた:共通のオッズ比は0.2(95%信頼区間 0.09-0.46).

結論:PCOSの患者において,妊娠率に関してFSHとhMGの間には明らかな差は示されなかった.しかし費用が同じであれば,精製度が高くOHSSのリスクを減少させる可能性があるので,さらに高度に精製したFSHあるいは遺伝子組替えFSHは将来広く使用されるだろう.高アンドロゲン,高LH値と自然流産のリスクの関連が懸念されるため,さらなる研究では生児出生率を主な結果として考察すべきである.


Citation: Hughes E, Collins J, Vandekerckhove P. Ovulation induction with urinary follicle stimulating hormone vs human menopausal gonadotropin for clomiphene-resistant polycystic ovary syndrome. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:日野村 靖/佐藤孝道)