正期前の外回転術

External cephalic version before term

Hofmeyr GJ

最終更新日:29/06/1994


目的:正期前(妊娠37週未満)における胎児外回転術(ECV)が妊娠結果の各指標に与える影響を入手可能で最良な証拠をもとに評価すること.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループにより維持・更新された臨床試験のレジスター.

選択基準:対照として組み込まれるための基準は以下の通り:・正期前のECV施行群とコントロール群を比較した臨床研究であること・治療群と無治療群はランダムまたは準ランダムに割付けられていること・割り当てられた管理方法が遵守されない場合にでも結論には重大な影響を及ぼさないこと・臨床的に有用な結果が引き出されていること・プロトコール違反があってもランダム割付けによる分析に有用なデータであること・データが抜け落ちても結論に重大な影響を及ぼさないこと・分析するために有用な形でのデータであること3つの研究が同定され,うち全3研究とも選択基準を満たしていた.

データ収集と解析:該当研究は研究結果とは無関係に方法論的に評価され,研究として妥当なものか検討された.データは以下の本に記載されたたように処理された.Mulrow CD,Oxman AD (編) ,コクラン共同計画ハンドブック[1997年3月1日改訂].コクラン・ライブラリー[ディスクまたはCDR-OMのデータベース].コクラン共同計画発行.オックスフォード,Update Software社.1996年より3カ月毎に改訂.

主な結果:正期前のECVは分娩時の胎位異常率(相対危険率(RR) 1.02, 95%信頼区間(CI) 0.89-1.17),帝王切開率(RR 1.10,95%CI 0.78-1.54),低アプガースコア(RR 0.81,95%CI 0.44-1.49),周産期死亡率(RR 1.19,95%CI 0.46-3.15)に対して有意な影響を与えていない.このことはどの研究においても極めて一致した結論である.

結論:正期前のECVの施行を支持する研究はない.早産進行例や人工的早産のような特異的な状況のもとでの正期前に行われるECVは妥当に計画された研究のなかで評価を下す必要がある.


Citation: Hofmeyr GJ. External cephalic version before term. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:久保理恵/佐藤孝道)