正期における外回転術

External cephalic version at term

Hofmeyr GJ

最終更新日:06/07/1995


目的:入手可能で最良な証拠をもとにして,正期における児頭外回転術(ECV)が妊娠予後各因子に与える影響について評価すること.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループにより維持・更新された臨床試験のレジスター.

選択基準:組み込み基準としては以下のものが含められた:コントロール群(ECVを行わない群)と比較することにより正期におけるECVの効果を臨床検討していること,介入群と非介入群とを適切なランダム化により割付けていること,割付けられた管理法に従わなかった場合にでも結論に対して重大な影響が出ていないこと,臨床的に意味のある結果が出ていること,観察者のバイアスを最小限にするための適切な方策がとられていること,ランダム割り振りによる解析のためにデータ自体が適当であること,データが抜け落ちても結論に重大な影響が出ていないこと,分析するために適切な形のデータであること.6つの研究が同定され,全6研究ともこの選択基準に合致していた.

データ収集と解析:結果自体は考慮に入れずにこれら6つの研究が方法論的な質と妥当性について評価された.研究データは以下の本に記述されているように処理された.Mulrow CD,Oxman AD (編) ,コクラン共同計画ハンドブック[1997年3月1日改訂].コクラン・ライブラリー[ディスクまたはCDR-OMのデータベース].コクラン共同計画発行.オックスフォード,Update Software社.1996年より3カ月毎に改訂.

主な結果:正期におけるECVは非頭位分娩(相対リスク:0.42,95%信頼区間:0.35-0.50)と帝王切開(相対リスク:0.52,95%信頼区間:0.39-0.71)の頻度を有意に低下させることと関連があった.しかし周産期予後因子に対しては有意な影響をもたらしていなかった.

結論:正期においてのECVの試みは非頭位分娩と帝王切開の頻度を実際的に減少させるという注目すべき証拠がある.現在までのランダム化試験における対象症例数は少ないため,正期におけるECVの危険性について論議することは妥当ではない.しかし,出版された非比較試験検討ではECVの危険は少ないことが示されている.それぞれの症例においてECVに付きまとう危険は,母児がこのまま骨盤位でとどまる場合に起こると予想される現在と将来の危険以上のものであってはならない.


Citation: Hofmeyr GJ. External cephalic version at term. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:久保理恵/佐藤孝道)