経腟分娩における会陰切開の方針

Episiotomy policies in vaginal births

Carroli G, Belizan J, Stamp G

最終更新日:12/02/1997


目的:主な目的は,経膣分娩における適用を制限した会陰切開とルーチンの会陰切開との比較してに,起こり得る利益とリスクを明らかにすることである.他の目的は,制限またはルーチンの正中会陰切開の適用を制限またはルーチンの正中側会陰切開の適用と比較して,利益および有害な作用を明らかにすることである.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループによって維持・更新された臨床試験のレジスター.

選択基準:以下に述べる方法の少なくとも1つと結果の少なくとも1つを評価している全ての十分なランダム化比較試験.方法:主な比較は制限した会陰切開とルーチンの会陰切開.二次的な比較は制限した正中切開とルーチンの正中切開,制限した正中側切開とルーチンの正中側切開および正中切開の適用と正中側切開の適用.結果の評価:母親の結果では会陰切開を受けた女性の数,手術分娩の率,高度の膣/会陰裂傷,後方の裂傷,前方の裂傷,縫合の必要性,分娩時出血量,会陰の治癒過程の合併症,血腫,疼痛,鎮痛剤の使用,性交痛と尿失禁.新生児の結果ではアプガースコアと特別新生児治療室への入院の必要性.

データ収集と解析:2人の判定者(Guillermo CarroliとJean Hay-Smith)が別々にデータを抽出した.6つの試験を確認した.それぞれの試験は,会陰/膣の裂傷に関して,制限した会陰切開の効果をルーチンの会陰切開と比較して評価するようにデザインされていた.見つかった試験のうちの2つは正中切開と正中側切開の適用を比較したが,どちらにも信頼できる結論を導きだすだけ方法論的質は十分でない.

主な結果:制限した会陰切開をルーチンの会陰切開の適用と比較した場合,データは次の事柄を支持している.1)後方の会陰裂傷,会陰裂傷の縫合の必要性,治癒過程の合併症のリスクの減少.2)前方の会陰裂傷のリスクの増加.3)高度の膣あるいは会陰裂傷のリスクの差がない.4)疼痛,性交痛または尿失禁のリスクの差がない.

結論:利用可能な証拠に照らして,適用を制限した会陰切開の方針が推奨される.手術分娩,早産,骨盤位,巨大児が予想される時そして今にも裂傷が起きそうな時の,適用を制限した会陰切開の適応とどちらの会陰切開法(正中側か正中か)が最良の結果を提供するかを試し決定するためにはさらなる研究が必要である.


Citation: Carroli G, Belizan J, Stamp G. Episiotomy policies in vaginal births. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:水谷武夫/佐藤孝道)