低体重児に対する予定(elective)帝王切開と適応が生じたときに緊急で行う(selective)帝王切開との比較

Elective versus selective Caesarean delivery of the small baby

Grant A

最終更新日:24/07/1995


目的:未熟児を分娩するというリスクの高い早産進行中の女性に対するelective caesarean deliveryとselective caesarean deliveryの方針の価値を評価すること.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループによって維持・更新された臨床試験のレジスター.

選択基準:elective caesarean deliveryの方針と,もし明らかな臨床的適応が生じたら帝王切開に頼る待期的管理とを比較した全てのランダム化試験.5つの試験が確認され,このレビューに組み込まれた.

データ収集と解析:データは不公平さを排除する方法をとらないで著者がそれぞれの試験から抽出し,これらは全ての試験の主研究者達によって提供された未出版のデータを含んでいる.

主な結果:このレビューは,elective caesarean deliveryの方針でも,その予定であった6人の新生児のうち約1人が経腟的に生まれるであろうし,逆に,経膣分娩を予定する方針でも,6人のうち約1人が帝王切開によって生まれるであろうことを示唆している.新生児(特に経腟骨盤分娩に起因するがそれだけに限らない)と母体(特に帝王切開に起因する)の両者にとって重大な合併症が確認されているが,数があまりにも少なく,十分な正確さを持ってこれらの結果を臨床の場で役立つと評価することはできない.

結論:低体重児に対してelective caesarean deliveryを行う方針を正当化するにはデータが十分はない.低体重児のelective caesarean deliveryのランダム化試験に応募した女性がほとんどいなかったことは残念である.ここに取り上げた全ての試験は,女性の応募に問題があるため,例外なく予定より早く募集を締め切った.elective caesarean deliveryの方針が広く受け入れられた後に,女性を募集して試験を開始するためのたいへん多くの努力が必要であった.その試験計画を実行に移すときに,方法をランダム化することは通常のテーマのランダム化比較試験ならもっと簡単である.頭位の胎児のルーチンの帝王切開は多くの国々ではまだ標準的な実地診療ではなく,大規模なランダム化試験はこのサブグループではまだ可能であろう.


Citation: Grant A. Elective versus selective Caesarean delivery of the small baby. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:水谷武夫/佐藤孝道)