早期産児の無呼吸に対するドキサプラムとキサンチン誘導体の比較

Doxapram vs methylxanthine for apnea in preterm infants

Henderson-Smart DJ, Steer P

最終更新日:22/04/1997


目的:再発性無呼吸を有する早期産児において臨床的に重大な副作用を伴わずに,臨床的に有意な無呼吸と人工換気の使用の減少に至るにはどのようにドキサプラムによる治療とテオフィリンによる治療を比較するのが良いであろうか.

検索方法:コクラン・ライブラリに示されているようにコクラン新生児レビューグループの標準的検索方法を使用した.

選択基準:無呼吸の治療に対しドキサプラムがキサンチン誘導体(テオフィリンなど)と比較された全てのランダムにあるいは準ランダムに患者を割付けたすべての試験.それらには無呼吸の明らかな原因を除外する努力が含まれていなくてはならなかった.

データ収集と解析:試験を選択したり試験の質を評価したりデータを抽出しまとめるためにコクラン共同計画とコクラン新生児レビューグループの標準的方法を用いた.それぞれの試験の方法論的な質はその試験の著者や施設の名称を伏せて他の著者がレビューした.方法論を明確にするために追加の情報を著者自身から請求した.判定者は別々にデータを抽出し,比較し,差を解消した.メタ・アナリシスには相対危険度と危険度差を用いた.

主な結果:比較的少ない数の未熟性無呼吸の児を対象としたこれらの試験においては,48時間以内の無呼吸の発生率はドキサプラムあるいはキサンチン誘導体の静注治療の効果の間に明らかな差は見られなかった.どちらの治療群でも人工換気を施行された児はいなかった.副作用も報告されなかった.

結論:臨床的意義.これらの小規模な試験の全体としての結果は早期産による無呼吸の治療の効果という点においては,ドキサプラムの静注とキサンチン誘導体の静注に差がないことを示した.これらの試験に含まれる患者数はかなり少なく二つの治療の重大な差を除外したり,頻度の低い副作用を除外できない可能性がある.また,治療された児の長期的予後は報告されていない.研究的意義.どのような児が利益を得られやすいかとか,出生週数の違いにより反応性あるいは副作用に差があるのかを明確にするには,大規模な週数により階層化された研究が必要であろう.その後の成長や発達と同時に人工換気の使用といった臨床的に重要な結果を将来的な研究に取り入れることは価値のあることであろう.治療に対する反応を評価するには抜管後によく用いられる経鼻的持続陽圧法などの同時に使用される治療も考慮されるべきであろう.


Citation: Henderson-Smart DJ, Steer P. Doxapram vs methylxanthine for apnea in preterm infants. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:亀井陽子/佐藤孝道)