ハイリスク妊娠における超音波ドプラー法

Doppler ultrasound in high risk pregnancies

Neilson JP, Alfirevic Z

最終更新日:23/02/1996


目的:ハイリスク妊娠における臍帯動脈(子宮胎盤動脈の併用もある)の血流速度波形を超音波ドプラー法を用いて調べることにより産科的管理,胎児の予後が改善するかどうかを評価する.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループによって維持・更新されている臨床試験のレジスター.

選択基準:超音波ドプラー法を使用し妊娠中の臍帯動脈の血流波形を検査しているランダム化試験を20件確認した.その内11件の試験は,このレビューのあらかじめ決められた基準を満たしていた.特にハイリスク(その定義はさまざまである)妊婦だけを評価していた.コクラン妊娠と出産グループにより用いられている方法によって,各試験の質が評価されデータは抽出された.

データ収集と解析:データは二人の著者により出版されている業績から抽出されるか,必要なときには研究者から得られた未出版のデータも補われた.

主な結果:ハイリスク妊娠(主に妊娠高血圧症と子宮内胎児発育遅延が疑われる症例)における超音波ドプラー法の使用は,29%あまりの周産期死亡の減少に寄与した(95%信頼区間 0.50-1.00).さらに超音波ドプラー法の使用は全く悪影響を及ぼさずに分娩誘発や帝王切開の減少・入院の減少と関連した.

結論:このようにハイリスク妊婦において超音波ドプラー法による胎児臍帯動脈の検査の使用を支持する証拠が得られた.


Citation: Neilson JP, Alfirevic Z. Doppler ultrasound in high risk pregnancies. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:水谷武夫/佐藤孝道)