目的:医師・看護婦間の協力関係を改善するようにデザインされた介入の影響を評価する.検索方法:関連研究は コクラン・ライブラリー, CCEPPのレジスター(同グループの比較臨床試験特別レジスターの詳細を参照のこと)およびMEDLINEにて検索した.MEDLINEの使用にあたり,コクランの比較試験に対する検索法を用い,MeSH termである"inter-professional relations"あるいはtext wordとして医療と看護のスタッフに関連した用語を使用した.
選択基準:1次医療あるいは入院治療という設定で,患者のケアを分担する看護婦と医療専門家たちの間の協力関係を改善させることを目的とした何らかの介入の評価が含まれたランダム化比較試験,前後比較試験,阻止時間試験を選んだ.介入には専門家たちに協力関係を訓練するワークショップ,病棟のより小さなチームへの再編成,ワークショップやミーティング,あるいは他の方法によるチームの発展,何らかの形の訓練によるコミュニケーション技術の発展,ケアにおける協調関係,および看護婦と医師のどちらもが一緒になって行う患者中心のケアに対する努力などを含めた.
データ収集と解析:検索結果は第一の評価者と他のもう一人の評価者により独立して細かく調べられた.お互いに関連性のあると思われた研究(それぞれの評価者により同定された)は,二人の評価者により独立して選択についての評価がなされた.同意を得るための何らかの議論を必要とした2つの研究をのぞいては,全ての研究において独立して承諾された.
主な結果:検索により100以上の関連文献が同定された.9つの文献は英語以外の言語であったり,手に入れるのが困難な雑誌ということで,これらは評価を待っている状態である.20の選択された文献のうち,ただ2つが協力を改善することを目的とした介入の効果についての評価であるということが証明されたが,それらは研究デザインの選択基準を満たさないという理由で除外された.
結論:我々の検索は国内の報告や学位論文を含め,公表されていない,あるいはMEDLINEの索引に載せられていない文献を見逃しているかもしれない.これまでに見逃しているかもしれない,我々の選択基準にあったあらゆる研究を同定するための助力を歓迎する.一方,専門家間の協力関係を改善する戦略を用いるか用いないかについては,協力関係による直接的な効果も,それが患者に及ぼす効果についてもいずれもはっきりとした証拠は得られていない.看護婦と医師との協力関係を改善するための新しいプログラムを作る,あるいは存在しているプログラムを中止するという前に,あらゆる提案された変化の効果を評価することを考えるべきである.協力関係を改善するための介入の有効性を評価する研究をまず行うべきである.もし,そのような研究がすでに存在しているか進行中であるとしたら,索引資料に公表されるべきだ.介入の複雑さ,適当な影響力とアウトカム発生の頻度が少ないために大きな母集団の必要性があること,および効果の混合や偏った評価を防ぐため多数のランダム化比較試験を監督する必要性があることなどにより,このような研究を指揮することは困難である.中央施設により層別化され,ランダム化された多施設研究により,この論理的な試みは最良のものになるであろう.介入およびそれが目指している専門家間の行動の複雑さは,協力態度の決定の質的な研究がこのような研究を始めるより前に役に立つということを示している.
Citation: Zwarenstein M, Bryant W, Bailie R, Sibthorpe B. Interventions to change collaboration between nurses and doctors. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.
(日本語翻訳:高口恵子/白石由里,山田誠史)