クローン病の寛解維持に対するアザチオプリン

Azathioprine for Maintenance of Remission of Crohn's Disease

Pearson DC, May GR, Fick G, Sutherland LR

最終更新日:20/08/1998


目的:非活動性クローン病の寛解維持に対するアザチオプリンの有効性を評価する.           

検索方法:MEDLINEデータベース(1966年から1998年5月まで),コクラン比較臨床試験レジスター,コクラン炎症性腸疾患グループの比較臨床試験特別レジスター,さらに,主な胃腸学会での抄録や,出版された記事,総説を用いて,適切な研究を選択した.

選択基準:アザチオプリン療法のランダム化,双盲,プラセボ比較試験が5つあった.そのうち2つは非活動性の患者だけのもので,3つは寛解導入と寛解維持の両方で多様な治療がなされている.

データ収集と解析:データはintention to treatの原則に基づき,3人の独立した観察者(GRM,GF,LRS)によって選ばれた.全体の寛解維持率,ステロイド減量,副作用による投薬の中止について,ピートのオッズ比とそれから導かれる95%信頼区間で表した.寛解維持率,ステロイド節減,副作用による投薬の中止について,number needed to treatおよびnumber needed to harm (NNT, NNH) も同様にもとめた.

主な結果:アザチオプリンには,病状を寛解維持する明確な効果があった.ピートのオッズ比は2.16(信頼区間 1.35-3.47)で,NNTは7であった.投与量が多くなるほどその効果が高かった.ステロイド節減効果は,オッズ比5.22(信頼区間 1.06-25.68)でNNTは3で,非活動性の病態に対しては注目すべきである.副作用による投薬の中止はオッズ比4.36(信頼区間 1.63-11.67)でNNHは19であった.

結論:アザチオプリンには,病状を寛解維持する効果がある.ステロイド節減効果の根拠を示した.


Citation: Pearson DC, May GR, Fick G, Sutherland LR. Azathioprine for Maintenance of Remission of Crohn's Disease. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:石川鎮清/濱崎圭三)