早期産に先立つ副腎皮質ステロイド

Corticosteroids prior to preterm delivery

Crowley P

最終更新日:19/01/1996


目的:このレビューの目的は,早期産に先立ち胎児の肺の成熟を促進するために妊婦に投与される副腎皮質ステロイドの有効性,そして短期および長期の安全性を評価することであった.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループによって記述された検索方法を用いて確認された,すべてのランダム化もしくは準ランダム化された試験.

選択基準:臨床に関連した結果(laboratory dataに対する)を報告した全ての試験は,方法論的質によらず組み込まれた.

データ収集と解析:データは,結果や女性の受けた治療について不公平さを排除する方法をとらずに各報告から抽出された.多数の研究者の非出版データを検索して少数からデータを得た.

主な結果:ランダム化された妊婦の3700例以上の児のデータを含む18の試験が確認された.早期産が予期される女性に対する24mgのベタメタゾン,24mgのデキサメタゾン,または2gのヒドロコルチゾンの分娩前の投与は,早期産児における死亡率,呼吸急迫症候群,脳室内出血を減少させる.これらの利益は,広い範囲の妊娠時期におよび,そして性別や人種によって限定されない.この方針への有害な結果は同定されていない.

結論:切迫早産や選択的早期産の結果としての早期産に先立つ副腎皮質ステロイドを投与さる妊婦の治療にあたってあらゆる努力がなされるべきである.最初の副腎皮質ステロイド療法の1週間後に,出産には至ってないものの継続する早産の危険にある女性に対しくりかえし副腎皮質ステロイドを使用することを支持する証拠は得られていない.母体および新生児への短期,長期の効果に関しては,最初の投与から7日後の出生前の反復投与の,ランダム化試験が必要である.


Citation: Crowley P. Corticosteroids prior to preterm delivery. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:岡野愛子/佐藤孝道)