分娩中の持続胎児心拍モニタリング

Continuous Electronic Fetal Heart Monitoring during Labor

Thacker SB, Stroup DF

最終更新日:27/06/1996


目的:出版されているランダム化比較試験(RCTs)の結果を用いて,分娩中のルーチンの持続胎児心拍モニタリング(EFM) の有効性と安全性を間欠的聴取法と比較すること.

検索方法:MEDLINEデータベース(1966-1994)とコクラン妊娠と出産グループにより維持されている登録の検索によって,また専門家への問い合わせや出版された文献のレビューによってRCTsを確認した.

選択基準:我々の検索では,持続EFMの有効性と安全性に言及した12のRCTsの論文を確認した.未出版の研究は見つからなかった.研究にアメリカ合衆国,ヨーロッパ,オーストラリア,アフリカの10の臨床センターからのハイリスクとロウリスクの58,855人の妊婦とその59,324人の児が組み込まれた.

データ収集と解析:データは我々の1人によってまとめられたが,その正確さはに別の人間が1人で確認した.1人の判定者が,それ以外の者によって開発されたRCTsのための基準に基づいて研究の質を評価した.類似の研究で報告されたデータは,9つの結果それぞれの複合リスク評価の計算のために使用された.

主な結果:全体で見ると,ルーチンのEFM群で1分のアプガースコアが4未満(相対リスク(RR) 0.82,信頼区間(CI) 0.65,0.98) と新生児の発作(RR 0.5,CI 0.30,0.82)が統計的に有意に減少した.1分のアプガースコアが4未満のEFMを防止する効果は,アメリカ合衆国以外でのみ明白であり,新生児の痙攀を防止する効果は,質の高いスコアを得た研究において明白であった.1分のアプガースコアが7未満,NICUへの入院の割合および周産期死亡に関しては有意差は見られなかった.帝王切開の割合(RR 1.33,CI 1.08,1.59) およびすべての手術的分娩の割合(RR 1.23,CI 1.15,1.31)はEFM群において増加した.帝王切開の危険はロウリスクの妊娠において最も高かった.

結論:ルーチンの持続EFMの使用から導かれるたった1つの臨床的に意義のある利益は,新生児の痙攀の減少であった.帝王切開や手術的経膣分娩の増加という観点から,新生児の痙攀の減少という長期的利益は,分娩中に持続EFMを行うか間欠的聴診法を行うかに関して,妊婦と担当医が話し合って出した結論で評価するしかない.


Citation: Thacker SB, Stroup DF. Continuous Electronic Fetal Heart Monitoring during Labor. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:岡野愛子/佐藤孝道)