原因不明不妊に対するクロミフェンとプラセボまたは無治療との比較

Clomiphene citrate vs placebo or no treatment in unexplained subfertility

Hughes E, Collins J, Vandekerckhove P

最終更新日:16/02/1996


目的:不妊症の原因が特定の異常に帰せられない女性において,クエン酸クロミフェン50-250mgを最高10日間投与することの有効性を評価すること.主たる結果は臨床的な妊娠であった.

検索方法:このレビューは全体としてコクラン生殖能力低下グループのために開発された検索方法を利用した.同グループの比較臨床試験特別レジスターから関連する試験を同定した.詳しくはレビューグループの詳細を参照.

選択基準:提示した臨床的問題点に関連があり,治療群と無治療群のデータを報告しているランダム化比較試験をすべて含めた.5研究が同定された.

データ収集と解析:データの抽出:1966年から現在までの主要な43雑誌のハンドサーチ,関連する研究の文献目録,MEDLINEデータベース,北米と欧州における学会の予稿集,関連する研究の著者との連絡,といった多様な検索方法がとられた.関連するデータは標準化されたデータ抽出用紙を用いて,2人の判定者によって別々に抽出された.ランダム化の方法,追跡調査の完全性,クロスオーバー法や副研究の有無に関して妥当性を評価した.データの生成:すべての関連する結果に関する2x2表を作成した.マンテル・ヘンツェル法のピート変法を用いてオッズ比を計算した.統計学的な不均一性はカイ2乗検定を用いて評価した.

主な結果:患者あたり,治療周期あたりの臨床的妊娠率の共通のオッズ比±95%CIはそれぞれ2.37(1.22-4.62),2.5(1.35-4.62)だった.研究間でいくらか統計的ばらつきがみられるものの,これらのデータは原因不明不妊の女性へのクロミフェン投与後の妊娠率は統計的・臨床的に明らかに増加することを示す.

結論:周期あたりの絶対的な治療効果は小さいが,コストの安さと投与の簡便さを考えれば,クロミフェンはこの状態の患者に対する第1選択薬としては賢明な選択であるようだ.この治療法を選択するときは,長期的使用と卵巣癌のリスク,多胎のリスクと軽い症候について検討すべきである.


Citation: Hughes E, Collins J, Vandekerckhove P. Clomiphene citrate vs placebo or no treatment in unexplained subfertility. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:田中恵美子/佐藤孝道)