妊娠中の性器クラミジア・トラコマティス感染症の治療

The treatment of genital chlamydia trachomatis infection in pregnancy

Brocklehurst P, Rooney G

最終更新日:23/06/1998


目的:妊娠中の性器クラミジア・トラコマティス感染症の治療に抗生物質が有効かどうかを判定すること.もし有効なら,どの抗生物質療法が妊娠中の使用に最適か.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループにより維持・更新された臨床試験のレジスター.

選択基準:11試験がレビューに含まれる.候補となる研究はクラミジア・トラコマティス感染症の妊婦に対する何らかの抗生物質療法とプラセボまたは無治療をランダムに比較したもの,または2つの異なる抗生物質療法をランダムに比較したものである必要があった.

データ収集と解析:データは出版された報告から,あらかじめ定められたデータ収集形式に従って2人の判定者によって別々に抽出された.情報が抜けている場合には著者に連絡をとった.

主な結果:含まれた試験の結果は95%信頼区間つきのオッズ比として表される.アモキシシリンは微生物学的治癒を達成するのにエリスロマイシンと同程度の有効性をもつようであり,加えてアモキシシリンの方が副作用が少ない.クリンダマイシンとアジスロマイシンも,試験に含まれた女性の数は少ないが,有効にみえる.

結論:臨床的意義:

アモキシシリンはエリスロマイシンと比べ,妊娠中の性器クラミジア感染症の治療における代替療法として容認しうるようである.妊娠中の性器クラミジア・トラコマティス感染の第1選択薬としてアモキシシリンを実際に使用するかどうかの決定は,「治癒テスト」が陰性化すれば新生児感染が防止できる,ということに臨床家がどの程度納得できるかによる.

クリンダマイシンとアジスロマイシンは,エリスロマイシンとアモキシシリンが禁忌であるか服用できないときの,さらなる代替療法として考慮されるかもしれない.

研究的意義:

アモキシシリンによる微生物学的治癒が母体および新生児の臨床的利点につながることを確認するため,さらに研究が必要である.妊娠中の性器クラミジア感染症の抗生物質療法に関する今後の研究は,新生児感染や産褥期の子宮内膜炎といった実質的な結果を含むべきである.


Citation: Brocklehurst P, Rooney G. The treatment of genital chlamydia trachomatis infection in pregnancy. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:石川鎮清/鶴岡浩樹)