早期産児の手術後無呼吸の予防に対するカフェインの投与

Prophylactic caffeine to prevent postoperative apnea in preterm infants

Henderson-Smart DJ, Steer P

最終更新日:22/04/1997


目的:外科手術のために全身麻酔を行う早期産であった児において,カフェインの予防的投与は術後の無呼吸,チアノーゼ及び徐脈を重要な副作用なしに予防できるか.

検索方法:コクラン新生児レビューグループの標準的方法が用いられた.Oxford Databaseのうち分娩時試験あるいはMEDLINE,及び主に英語により,ハンドサーチ,論文中引用文献,要旨,学会あるいはシンポジウムの抄録,専門家の情報紙及び専門誌のものを含んでいる.

選択基準:ランダムあるいは準ランダムに患者を割付け,治療をプラセボ群あるいは無治療群と比較した.

データ収集と解析:コクラン共同計画及びコクラン新生児レビューグループの標準方法を,試験の選択,質の評価,データの抽出方法に用いた.各試験における方法論的質の評価は試験を行った施設と研究者名を伏し,別の研究者がレビューした.我々は各自データを抽出し,相違点を比較,検討した.メタ・アナリシスには相対危険度及びリスク差を用いた.

主な結果:いずれの試験においても,無呼吸及び徐脈は対照群より治療群の方が少なかった.2試験において(Welborn 1989, leBard 1989)酸素の飽和度を継続的に計測していたが,低酸素症(90%未満)は対照群より治療群の方が少なかった.気管内挿管,人工呼吸器の使用が必要になった新生児は無かった.有害作用はみとめられなかった.

結論:臨床的意義.カフェインは,早期産児において手術後の無呼吸或いは徐脈及び酸素飽和度の低下の予防に対して,必要と思われるなら,使用することができる.ただし,検討した試験の症例数が少ないことおよび所見の臨床的な意義について不確実なところがあるため,この結果を日常の診療に適用するには注意が必要である.

研究的意義.この治療により最も利益を得る新生児を決定する必要がある.最も無呼吸の危険性の高い新生児(無呼吸の既往があるもの,在胎週数が短いもの)及び人工呼吸装置が必要な可能性のある新生児(慢性肺疾患)に対象を限定した研究に試験は価値が有るだろう.


Citation: Henderson-Smart DJ, Steer P. Prophylactic caffeine to prevent postoperative apnea in preterm infants. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:廣瀬美智代/佐藤孝道)