慢性閉塞性肺疾患と気管支拡張症に対する気管支および肺の理学療法

Bronchopulmonary hygiene physical therapy in chronic obstructive pulmonary disease and bronchiectasis

Jones AP, Rowe BH

最終更新日:13/07/1998


目的:慢性閉塞性肺疾患と気管支拡張症に対する気管支および肺の理学療法の効果度を評価する.

検索方法:コクラン気道データベース(喘息,喘鳴音,気管支拡張症,COPDに対するランダム化比較試験を含むもの.MEDLINE,CINAHL及びEMBASEの検索,ハンドサーチ,外国語文献の検索もした)を検索した.以下の単語を使って検索した:姿勢排膿法または,物理療法または,打診法または,理学的療法.関連文献のレビューも併用したり,可能性のある研究の著者に連絡をとったりした.

選択基準:患者:COPDもしくは気管支拡張症; 介入群:姿勢排膿法,姿勢排膿法と打診,もしくは姿勢排膿法,打診と振動マッサージ; コントロール群:自然排膿,強制呼吸法,陽性呼気圧,胸部振動,自動回転ベッド,深呼吸,がいそう,治療的気管支鏡,何も介入しない. アウトカム:生理機能検査:固定のバイタル機能とそれについての個々の値,呼吸数,動脈血の酸素レベルと飽和度,不整脈,痰とラジオエアロゾールのクリアランス.一般的なアウトカムの測定:胸部X線写真の分析,感染症,死亡率,病院での滞在期間の長さ,呼吸困難. 除外項目:のう胞性繊維症の患者に限った研究.肺ガン,うっ血性心不全の患者を含む研究,肺についての診断が肺機能検査や画像(肺拡張症)によって十分に特定されない,もしくは支持されない,研究に含まれる治療期間や頻度が非特異的であるもの.

データ収集と解析:2人の評価者が可能性のある研究をの選択/除外項目を調査し,RCTの方法論的な質を評価した.質の評価にはハダードの5点検査法の変法を使った.評論家間の調整にはカッパー比重加算法を用いた.計算の微妙な違いがあったため,コンセンサスの一致が見られなかった.データは1人の評価者によって抽出され,他の1人によって実証された.我々は,データコンパイルと解析のためコクランReview Manager,Windows ver2.1を用いた.従属変数が連続するので,95%信頼区間で個々の介入方の加重平均差をみた.研究は結合できないので,結合した効果の計算や同一性を見るようなことはできなかった.

主な結果:10の含まれていた研究の中で13の比較が興味深く,11の違った従属変数をもっていた.研究を統計上の集合体にまとめることはできなかった,なぜなら同じような介入方法を使った試験でも比較できない従属変数を用いていたからである.肺からの痰やエアロゾルを清明にする有意差はBHPTにあるようだ.しかし,BHPTによって肺機能が改善するというエビデンスはない.研究はまとめられなかったので質や効果に対する感度の高い分析は行われなかった.質のスケールでだいたい5の可能性のある,3と判定された一つの研究があるだけであった.これは2つめに大規模の試験で(N=33)有意な差は認められなかった.

結論:結果はトータルで153人の患者に基づいた.肯定的な結果の研究はトータルで67人の患者を含む.試験の大きさや質によってBHPTについての調査はベストになったり混乱したりした.慢性気管支閉塞症の人に対してBHPTを規則的に行うことはこのエビデンスに基づいては支持されなかった.BHPTの死亡率や罹病率に関連した臨床的アウトカムに対する影響を調べるのは十分に大規模なRCTを計画する必要がある.


Citation: Jones AP, Rowe BH. Bronchopulmonary hygiene physical therapy in chronic obstructive pulmonary disease and bronchiectasis. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:白石由里,吉村 学/)