分娩中の胎児仮死疑いに対する陣痛抑制剤

Tocolytics for suspected intrapartum fetal distress

Kulier R, Hofmeyr GJ

最終更新日:20/11/1997


目的:最も有用なエビデンスによって,胎児仮死疑いに対する陣痛抑制治療の胎児と母体の状態に関する影響と周産期のアウトカムを評価すること.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループによって維持更新された臨床試験のレジスター.コクラン比較臨床試験レジスターの追加調査も行われた.

選択基準:組み込み基準は以下のとおりであった: 臨床的に意味のある結果に関して,分娩中の胎児仮死疑いに対する陣痛抑制治療の効果をコントロール群(無治療または他の陣痛抑制剤)と比較した臨床試験,治療とコントロール群とのランダム割付け,割付けられた治療に対する違反は結果に実質的に影響のないこと.

同定された8研究で,3研究があらかじめ定義された組み込み基準に適合した.

データ収集と解析:以下の基準に適合した場合に,データを解析に組み込んだ:観察者のバイアスを最小にする論理的な測定であること.最初の割付けに従ったデータ,プロトコール違反は除外する.データの欠如は比較に実質的に影響を与えないこと.解析にあった形式の有用なデータ.

主な結果:無治療と比較した陣痛抑制剤の治療は,胎児心拍異常改善の失敗を減少させることと関連していた(相対危険度(RR)0.26, 95%信頼区間(CI)0.13-0.53); 1分後のアプガスコア7点未満は有意ではないが,減少と関連していた(RR: 0.46, 95%CI: 0.16-1.30).硫酸マグネシウムと比較してベータ作動薬治療は多くの婦人において,子宮収縮の減少と関連していた(RR:0.07, 95%CI:0.00-1.10).

結論:小規模の研究なので,これらの研究の結果は注意と解釈すべきである.ベータ作動薬治療は子宮収縮や胎児心拍異常を減少させる効果的な方法のようである.分娩結果の臨床的に重要な評価における実質的な効果があるか否かは,大規模な研究で述べられるべきである.


Citation: Kulier R, Hofmeyr GJ. Tocolytics for suspected intrapartum fetal distress. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:益田裕子/佐藤孝道)