禁煙における抗不安薬と抗うつ薬

Anxiolytics and antidepressants in smoking cessation

Hughes JR, Stead LF, Lancaster TR

最終更新日:02/06/1997


目的:抗不安薬と抗うつ薬の性質を持つ薬物が,長期間の禁煙を助ける有効性を評価する.次の薬物がレビューされた; ブスピロン; オンダンセトロン; メプロバメート; ジアゼパム; βブロッカー メトプロロール, オクスプレノロール, プロプラノロール; イミプラミン; フルオキセチン; ドキセピン; moclobemide; トリプトファン; buproprion; ノルトリプチリン.

検索方法:ニコチン,クロニジン,ロベリン以外の薬物がタバコ嗜癖グループの専門化された登録から確認された.そこから抗不安作用と抗うつ作用の効果を持っていそうなものが選択され,それぞれの薬物とfree text termとしての'smoking'を掛け合わせたものを用いて,MEDLINEとEMBASEで追加検索された.

選択基準:"目的"に載せられた各々の薬物と,プラセボまたは代替えの治療対照とを比較するランダム化試験.経過観察が6ヶ月に満たない試験は除外された.

データ収集と解析:それぞれの研究に対しては,経過観察の終了時で喫煙を中止した参加者の数は,二人の著者によって独立的に抽出された.二つ以上の試験がある薬物に対しては,固定効果モデルを用いたメタ・アナリシスが行われた.

主な結果:抗不安薬のメプロバメート, ジアゼパム, オクスプレノロールとメトプロロールはそれぞれ包含基準を満たす試験が1つ,ブスピロンは3つあった.これらのいずれもが有効性のエビデンスを示さなかった.抗うつ薬のmoclobemide, フルオキセチンとノルトリプチリンはそれぞれ包含基準を満たす試験が1つ,buproprionは3つあった.フルオキセチンとbuproprionは禁煙に対する僅かな効果を持つエビデンスがあり,他の抗うつ薬もまた有効かもしれない.

結論:抗不安薬に禁煙を助けそうなエビデンスはない.ニコチン置換療法に優先して抗うつ薬を第一選択療法として勧告するには,不十分なエビデンスしかない.


Citation: Hughes JR, Stead LF, Lancaster TR. Anxiolytics and antidepressants in smoking cessation. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:福井直仁/糸矢宏志)