急性虚血性脳卒中と推定される疾患における対照群と比較した抗血小板療法

Antiplatelet therapy compared to control in acute presumed ischaemic stroke

Counsell C, Sandercock P

最終更新日:19/08/1998


目的:確実なあるいは疑いの虚血性脳卒中の急性期において,抗血小板療法が安全で効果があるかどうかを決定する.

検索方法:コクラン脳卒中レビューグループの検索方法に抗血小板療法共同計画の試験レジスターの検索と製薬会社からの情報を加えた.

選択基準:確実なあるいは疑いの虚血性脳卒中の患者において,脳卒中の発症14日以内に始めた抗血小板療法を対照と比較した,すべての完了した,交絡のない,真のランダム化比較試験.

データ収集と解析:次のアウトカムが評価された:フォローアップの終了時の死亡数や依存性(訳者注:介助の必要性),フォローアップ中あるいは治療中の死亡,フォローアップ中の血管死,深部静脈の血栓,肺塞栓,再発性脳卒中,頭蓋内出血,頭蓋外の大出血,心筋梗塞.

主な結果:501人の患者を含む5つの研究がこのレビューに含まれており,フォローアップ期間は最高6ヶ月である.1つの研究は309人の患者が参加した.アウトカムイベントの数は非常に少なく,測定されたどのアウトカムに対しても,抗血小板療法の利益あるいはリスクについての信頼できるエビデンスは得られなかった.フォローアップの終了時に,死亡あるいは依存性と(OR 0.75, 95%CI 0.47-1.20)および死亡単独(OR 0.63, 95%CI 0.40-1.00)のリスクは減少していたが,これらの結果は最大の試験1つに強く依存し,ほとんどないアウトカムイベントに基づいていた.

結論:このレビューの現バージョンに含まれた5つの小規模試験においては患者やアウトカムイベントが非常に少なかったので,信頼できる結論は引き出せない.しかしながら,2つの大規模試験(IST と CAST)が最近報告され,それには合わせて40,000人以上の患者が含まれており,虚血性脳卒中と思われる発症の48時間以内に開始したアスピリンは,有益であるという信頼できる根拠を提供した.治療される1000人の患者ごとに,急性期には9人が死亡ないし非致死的脳卒中を避け,長期においては13人が死亡や依存を避ける(そしてさらに1000人あたり10人が脳卒中から完全に回復する).このレビューの次のヴァージョンではこれら2試験のデータを含む予定である.


Citation: Counsell C, Sandercock P. Antiplatelet therapy compared to control in acute presumed ischaemic stroke. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:和座一弘,内堀充敏/浅井泰博,濱崎圭三)