間欠性跛行に対する血管形成術(対非外科的管理)

Angioplasty (versus non surgical management) for intermittent claudication

Fowkes FGR, Gillespie IN

最終更新日:19/02/1998


目的:軽度から中等度の間欠性跛行のある患者において,下肢の動脈の血管形成術が非外科的または無治療より効果的であるかどうかを調べる.

検索方法:コクラン末梢循環障害グループの検索方法を使い,論文の参考文献リストと学会抄録を見直し,そして一部の著者に連絡を取り,試験を探した.

選択基準:試験は一人のレビュアーにより選択され,軽度または中等度の間欠性跛行の患者がランダムに血管形成術または保存療法に割付けられている試験だけを含めた.血管形成術を受ける病変は血管造影またはドップラー超音波検査で証明されているものとした.

データ収集と解析:各試験からのデータは一人のレビュアーによって得られ,次のアウトカムを含んでいた.トレッドミルの歩行距離,ankle brachial pressure index,ドップラー超音波検査の結果,血管形成術の合併症,生活の質(QOL).

主な結果:データは二つの試験から得られた.6ヶ月の追跡時点で,ankle brachial pressure indexの平均は対照群より血管形成群の方で高かった,WMD 0.17(95%CI 0.11,0.24).1つの試験では,歩行距離は血管形成群で長かった.しかし対象群で運動プログラムを行った他の試験では,歩行距離は血管形成群ではそれほど大きな改善を示さなかった.ある試験では,2年間の追跡調査では血管形成群はpatent動脈をもつようになった,OR5.5(95%CI 1.8,17.0)しかし歩行距離や生活の質では目だった改善はなかった.他の試験では,6年の長期間の追跡では血管形成群と対照群との間の大きな結果の差はなかった.

結論:これらの限られた結果が示唆することは,血管形成は短期間の有用性はあったかもしれないが,これは持続しなかったということである.さらに大規模な試験が必要である.大規模な試験の結果が出るまでの間,軽度から中程度の間欠性跛行に対して広く血管形成術を採用する事は勧められない.


Citation: Fowkes FGR, Gillespie IN. Angioplasty (versus non surgical management) for intermittent claudication. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:益田裕子/高屋敷明由美,大野茂樹)