分娩時間を短縮するための人工破膜

Amniotomy to shorten spontaneous labour

Fraser WD, Krauss I, Brisson-Carrol G, Thornton J, Breart G

最終更新日:03/11/1995


目的:帝王切開分娩率と母体と新生児の罹病率の指標(5分後のアプガースコア7点未満,NICUへの入院)における人工破膜の効果の研究.

検索方法:コクラン妊娠と出産グループで維持・更新された臨床試験のレジスター.

選択基準:分娩第一期における人工破膜に関する全ての適格な比較試験.

データ収集と解析:データは出版された論文から,2人の訓練された判定者が抽出した.試験は標準化された評価システムに基づいた方法論的質のスコアをつけられる.典型的なオッズ比(ORs)はピートの方法を使って計算された.

主な結果:人工破膜は,60-120分の分娩時間の短縮と関連した.帝王切開のリスクは統計学的には有意ではないが増加していた.OR=1.2;95%信頼区間(CI)=0.9-1.6.早期の人工破膜と関連して5分後のアプガースコア7点未満の可能性は減少した.(OR=0.5;95% CI=0.3-0.9)新生児の状態についてその他の指標(臍帯動脈のpH,NICUへの入院)に関しては両群は同じであった.

結論:ルーチンに行う早期の人工破膜は,利益と不利益に共に関連する.利益は分娩時間の短縮と5分後の異常なアプガースコアの減少の可能性を含む.メタ・アナリシスは,ルーチンに行う早期の人工破膜が,帝王切開のリスクを低下させるという仮説を支持しない.早期の人工破膜と胎児仮死による帝王切開の関連が1つの大規模な試験で報告されている.これは,人工破膜は分娩の進行が異常な女性に限ることがよいと示唆している.


Citation: Fraser WD, Krauss I, Brisson-Carrol G, Thornton J, Breart G. Amniotomy to shorten spontaneous labour. In: The Cochrane Library, Issue 1, 1999, Oxford: Update Software.


(日本語翻訳:益田祐子/佐藤孝道)